自分が本当にやりたいことをする時間を生み出すためには、今持っているものを手放すことが必要です。
この「手放し」はリーダー層の方にこそ、積極的に取り組んでほしいのです。なぜなら、「手放し」はただ時間を生み出すだけではなく、リーダーシップに必要な見守り力を育むにも最適だからです。会社や組織のリーダーだけではなく、家庭の中で「司令塔」である、お父さん・お母さんにとっても見守り力は大切です。
今回は、リーダーや親といった人の成長に関わる人が「手放し」を実践するときに意識してほしいポイントを解説します。
手放しポイント1:目先の効率より未来の成長
私たちは「やるべきこと」を手放せずに、ついつい抱え込んでしまいがちです。
なぜなら、
・自分がやったほうが早い
・自分がやったほうがクオリティが高い
・失敗するリスクを負いたくない
・引継ぎする時間、教える時間がもったいない
そう思ってしまうからです。
「今」という短期的な視点でみると、たしかに自分がやったほうが早いし、クオリティも高くなるでしょう。けれど、自分一人で抱え込み続けていたら、やるべきことは増える一方です。生産性も上がりません。そして、自分一人で抱え込むということは、部下や後輩、子どもの成長の機会を奪うことになります。どちらにとっても、もったいない話です。
最初はもどかしいかもしれません。けれど、長期的な視点で「見守ること」がリーダーには必要です。「ついつい自分がやってしまう」これを手放すのです。
職場・家庭・コミュニティのリーダーに必要なのは、いざという時にはサポートができるようにそっと見守ることです。
手放しポイント2:小さな失敗を奪わない
できない姿を見せること。これもリーダーには必要です。「本当にできない」ではなくて、「できないふりをする」でもいいのです。
新入社員のとき、新しい役割を担ったとき、子ども時代・・・など、失敗しても大丈夫なときにはどんどん経験を重ねてほしいのです。そのためには、周りにいるリーダーや親が「やりすぎないこと」がポイントです。
先日、娘に「ママ、タブレットを充電しておいて!」と言われました。けれど、私はうっかり忘れてしまい、充電ができていなかったことがあったのです。次にタブレットを使ったときには、充電が少なくてすぐに切れてしまいました。
「もう!ママが充電してくれなかったから、ちょっとしか使えなかったじゃん!」と娘は怒っていました。けれど、その日以降、「ママは忘れっぽいから自分で充電しておこう」と、自分でやるようになったのです。
小さな失敗体験をすることで、人は成長します。自分で取り組み、一つ一つできることを増やすことが、自立につながっていくのです。だからこそ、いかに小さなことで失敗をするかが大切です。
これは家庭だけでなく、職場でもコミュニティでも同じ。「手を出しすぎない」「時にできないふりをする」ということが、部下・後輩・子どもたちの成長につながります。
手放しポイント3:手放す理由を伝える
手を出し過ぎず、任せることはリーダー・親として重要なスキルですが、手放せればそれで終わりではありません。なぜ手放すのか、その理由を相手が納得できるように伝えることも大切です。
リーダーが何の説明もなく「これをやっとけ!」と無理難題を押し付ける。押し付けられた側は「なんて無責任な!なんで自分がやらなくてはいけないんだ!」と腹を立てる。けれど実は、リーダーが部下の成長を願い、わざと突き放した態度を取り、裏でしっかり手を回して見守っていた・・・。
ドラマでありそうなシーンですよね。そんなかっこいいことを狙う必要はありません。むしろ、これは関係性を崩しかねない危険な行為です。ドラマだからうまくいくパターンだと思った方が良いでしょう。
リーダー・親が手放すときには、任せる相手に「伝えること」も大事にしましょう。任せる理由や未来像をしっかりと伝えることで、任された側もモチベーションを維持して取り組むことができます。
リーダー・親は、「言わなくてもわかるだろう」と思ってしまったり、「伝えているつもり」になってしまっていることがよくあります。それが後々、より大きな問題になってしまうことも少なくありません。
相手に真意がしっかりと伝わっていなければ、「伝えた」とは言えません。相手が受け取れるように、言葉を尽くすことが重要です。
まとめ:「手放し」はリーダーシップに必要な見守り力を育む
今回は、人の成長に関わるリーダーや親の手放しポイントについてお伝えしました。
「教える」「見守る」という煩わしさを避けたいがゆえ、ついつい「自分がやった方が・・・」と手を出してしまいがちです。けれど、それは後々もっと大きな煩わしさになって戻ってきます。
・自分がやらなくては回らない状態が続くのは不健全
・仕事は生産性を上げることがリーダーの役割
・部下や子どもの成長、自立のきっかけにはリーダーや親の働きかけが重要
だからこそ、手放すことを避けていては誰のためにもならないのです。
課題が小さいうちに失敗の経験を積めるよう、然るべきタイミングでリーダーや親が「手放す」。ぜひ実践してみてください!
文:吉武 麻子
編集:宮尾 多希
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