「あれ?もうこんな時間!?」
何をしていたわけでもないのに、いつの間にか時間が経っていて驚いた。そんな経験がある方は少なくないはずです。
仕事が終わってからの時間の使い方、休日の時間の使い方など、プライベートの時間についてのお悩みを伺うことがあります。そのなかで、何に時間を使っているのかが分からない「無の時間」が多い、という声をよく耳にします。
ボーッと過ごす時間にどんな意味があるのか?どう向き合えば良いのか?今回は、この「無の時間」について、掘り下げて考えてみましょう。
ボーッとする時間はフラットな自分に戻るための時間
頻度は人それぞれとしても、誰でもボーッとする時間を過ごしたことがあるはずです。そして、そんな過ごし方に悪いイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
タイムコーディネートでは、時間の使い方を役割ごとに考えます。たとえば、仕事をする私、父・母としての私、夫・妻としての私、家事をする私、趣味をする私…といったように。こうして役割で時間の使い方を振り返ったときに、どこにも属さない「無の時間」が出てきます。「これは何のための時間なのだろう?」「無駄ではいのか?」そう考え始めます。
多くの人が「ボーッとする時間」=「無駄な時間」だと思っています。そして、「ボーッとする時間をなくさなくては!」と思うのです。たしかに、効率・生産性という観点でみると、ボーッとする時間はもったいない時間の過ごし方かもしれません。けれど、がむしゃらに動き続けられる人間はそんなに多くありません。
私は、このボーッとする「無の時間」を過ごすことによって、自分をフラットな状態に戻していると考えています。そう捉え直すと、ボーッとする時間をゼロにする必要はないと思えるのではないでしょうか。
重要なのは、ボーッとする時間がどのくらいあれば自分がフラットに整うのかを把握できていること。そうすれば、必要以上のボーッとする時間はなくなり、その分有意義な時間へと変換していくことができます。
そもそも、なぜ自分をフラットに戻すためのボーッとする時間が必要なのでしょうか。
ボーッとする時間が必要な理由
テレビやSNS、YouTubeをダラダラと眺めている時間、なんとなくゲームをやり続ける時間・・・。こうしたボーッとする時間がなぜ生じるのかというと、実は「緊急で重要なこと」に取り組んでいるからです。これはスティーブン・R・コヴィー氏の『7つの習慣』で「第一領域」といわれるものです。
その時間が長ければ長いほど、比例して「緊急でなく重要でもないこと(第四領域)」をする時間が増えます。これがいわゆる「ボーッとする時間」です。つまり、ボーッとする時間が多いと感じたときは、その分、「緊急で重要なこと(第一領域)」に取り組んでいる時間が長いのだと気付くことができます。
「緊急で重要なこと」は心理的にも焦りを感じ、負担感も大きくなりますよね。そんな時間が長くなれば、心身ともに疲弊するのは当たり前です。疲れるからこそ、ボーッとする時間が反動的に増えるのも理解できるのではないでしょうか。
では、ボーッとする時間を減らしたいと思ったら、どう対処すればよいのでしょうか。
ボーッとする時間にどう対処するか?
まずは、ボーッとする時間の中でも、「自分のエネルギーを回復するための時間」と「ただ意味もなくダラダラと過ごしてしまう時間」を分けて考えるようにしましょう。
自分が疲れていると感じるときは、ボーッとする時間を過ごす自分にマルを出しましょう。この時間は疲労回復には必要な時間です。「また無駄な時間を過ごしてしまった」と自己嫌悪に陥ることのほうが、もったいない時間の過ごし方になってしまいます。
疲れているわけでもないのに、ダラダラしてしまう。そんなときには、小さなことで良いので取りかかりやすいことに体を使いましょう!ダラダラから一歩踏み出せれば、そのあとは行動が連鎖していくはずです。
タイムコーディネートで根本的に時間を見直す
ボーッとする時間を減らすために、根本的に見直してほしいものがあります。それは「緊急で重要なこと」に取り組む時間です。
「緊急で重要なこと」に取り組む時間を減らせば、心身の疲労が減り、ボーッとする時間も減らすことができます。そのためには、「緊急」になる前に、前倒しで「重要」なことに取り組む必要があります。つまり、「緊急ではないが重要なこと(第二領域)」に取り組む時間を日々増やしていく、ということです。
とはいえ、自分にとっての「緊急ではないが重要なこと(第二領域)」が何かを把握できていなければ、その時間を増やすことはできません。タイムコーディネート手帳の『3カ月プロジェクトシート』が、まさにこの自分にとっての第二領域を書き出すページになっています。
『3カ月プロジェクトシート』とは、3カ月を見開き1枚で見られるページです。自分が叶えたい目標を中長期視点で常に確認できるので、目標実現に向けて、優先度高く取り組めるようになります。
『3カ月プロジェクトシート』に書き出したものは、人との約束よりも前に、最初にウィークリーページにスケジューリングします。「緊急ではないが重要なこと(第二領域)」を先延ばしにせずに、確実に進めていけるよう、優先的に時間を確保する習慣をつけていきましょう。
まとめ:疲れる時間の使い方から心地よい時間の使い方へ
今回はボーッとする時間について考えました。
私たちは時短や効率化を良しとする考え方が染みついているので、ボーッとする時間を無駄な時間と捉えがちです。けれど、ボーッとする時間をすべてなくして、時間を有意義に使わなければならないとストイックに思う必要はありません。
まずは、疲労回復の時間と、もったいない時間とに分けてみましょう。そして、根本的に疲れる時間の使い方を減らせるように改善していきましょう。
心地よい時間の使い方を日々意識していけば、ボーッとする時間は自ずとなくなっていきます。心地よい時間の使い方を、タイムコーディネートで探求していきましょう!
文:吉武 麻子
編集:宮尾 多希
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