仕事を一人で抱え込んで苦しくなることはありませんか。
一生懸命に頑張るのはいいことだけれど、「自分がなんとかしないと!」と無理をし続けたら、いつかその無理もきかなくなるときがきます。心身ともに疲れ果ててから、対処法を探しても遅いのです。自分のキャパシティを超えないように予防策を持つ必要があるのです。
その一つが「一人で抱え込まない」ことです。
仕事を一人で抱え込むことなく、どうやって周りの人と協調しながら進んでいけるのか。今回は、その方法についてお伝えします。
一人で抱え込む人に必要な2つのもの
周りの人と協力し合いながら、心地よく仕事を進めていくために必要なものが2つあります。
それは、「適切な自己開示」と「持ち時間の把握」です。
この2つがあることで、私自身がとても救われたことがありました。
今年度、私は住んでいる地域の自治会長を務めることになりました。この自治会長はくじ引きで決まったものなので、「仕方なくなった」というのが正直なところです。
とはいえ、「どうせやるなら楽しく!」が私のモットーです。自治会長として初めての役員定例会では、「楽しくやりたい」という気持ちを役員のみなさんにお伝えしました。
そしてもう一つ、伝えたことがあります。
「自治会長になったからには一生懸命務めます。ただ、私自身はフルタイムで仕事をしています。夫は外国人なので言葉の問題があり、協力を得ることは難しいです。また、今年は学童の役員担当や保育園のアルバム制作の役割もあります。正直なところ、身軽に動ける状況ではありません。なので、ご協力をお願いすることもあると思います。その際は助けていただけたら嬉しいです。どうぞよろしくお願いいたします!」と、現在の状況を素直にシェアしたのです。
精一杯やりたい。とはいえ、会長は色々な会に出席することが求められることもあり、すべてを一人でやることの難しさを感じていました。だからこそ、現状をありのままにお伝えしたのです。
そうすると、他の役員の方々からは、
「別の会長をやったことがあるので、会長とそうでない人の負担の違いがものすごくあることを知っています。私が代わりに出席できるものは出席しますね。」
「私も以前、会長の経験があるのでサポートしていきますね。」
「子育ての大変な時期に会長を引き受けてくださりありがとうございます。パソコン業務はできないですが、できることがあったら言ってくださいね。せっかくだから楽しく1年間過ごしましょう!」
と、声をかけていただきました。また、率先して調べ物をしてくださった方もいました。
みなさんの優しさに触れて、私は泣きそうな気持ちになりました。
会社やチームや家庭、学校……あらゆるコミュニティで、自分のキャパシティを超えた役割を強いられることもあるのではないでしょうか。
そんなときに、「なぜ自分がやらなくてはいけないのか」と愚痴を言ったり、嫌々やったりしていては、周りの協力は得られません。逆に、すべてを完璧にやり遂げようと一人で抱え込んでしまったら、「なぜ自分だけが!」とイライラしてしまうはずです。
そうならないために、「適切な自己開示」と「持ち時間の把握」がいかに大事なのかをここからはみてみましょう。
一人で抱え込まないためにできない自分を見せる
忙しいのは自分だけではなく、周りの人も同じです。そんな状況のなかで、周りの協力を得るには、まずは自分から動くことが大切です。
私が初めての会議で、時間を多く割けない現状をみなさんに伝えたように、先に自分からできないことを素直に伝えましょう。
「できない」ということを伝えるのは勇気がいるかもしれません。けれど、適切な自己開示は、リスクヘッジにもなり、自分への信頼を守ることにも繋がります。
周りに協力をお願いするときに「私は忙しいので……」「できません」「代わりにやってもらえませんか?」と一方的に自分の状況だけを伝える人がいます。そんなことを言われても、誰も「助けたい」という気持ちになりませんよね。ただ一方的に、自己開示すればよいわけではありません。
まずは自分から「give」するのです。一生懸命やることを誓う。そしてその姿勢を実際に見せるのです。その前提があるかないかで、相手に与える印象も変わってきます。
「責任をもって務めます。けれど、動けなくなることもある。難しいときは助けてください!」そう素直に、フラットに伝えていきましょう。
一人で抱え込まないために自分の持ち時間を把握する
自分がどのような状況かを人に伝えるには、自分が動ける範囲、つまり「可動範囲」を自分自身がしっかりと把握しておかなくてはなりません。そして、どこまでやるのかを自分で線引きできる力が必要です。
実際に動いてみたら想定していた以上に動けた、というのは何の問題もありません。逆に、「ここまでできます!」と言っておきながら、あとから「やっぱりできません」と結果的に投げ出してしまうと、周りの人に迷惑をかけることになります。
「そんな無責任なことはしない」そう思われるかもしれません。けれど、実は仕事やいろいろな場面でやってしまう人が非常に多いのです。
この原因は、「見積もり時間」の甘さにあります。
一つ一つのタスクにかかる時間を見積もるだけでは足りないのです。まずは、自分の持ち時間全体がどれくらいあるのかを把握することが重要です。
自分が無理せずに動ける持ち時間がわかっていると、「行動量で何とかする」「睡眠時間を削って何とかする」という自分にムチを打つ頑張り方から抜け出せます。頑張りすぎることを防げるからこそ、気持ちに余裕が生まれるのです。
気持ちの余裕が人との関係構築には不可欠
現状を自分から周りの人に素直に開示すること。そのために、自分の持ち時間を把握し、「可動範囲」を線引きしておくこと。
それができていないと、周りの人に急な仕事をお願いすることになったり、それができずに自分一人で何とかしようと時間に追われてしまったりすることになります。後者で苦しんでいる人が多いのではないでしょうか。
時間に追われることで気持ちの余裕がなくなると、「なぜ私だけが?」と周りの人を責めてしまうか、「また時間内に終わらせられなかった」と自分を責めて自己嫌悪に陥ってしまうか、のどちらかになりがちです。
一人で抱え込んで頑張り過ぎることを防ぐために、自分の持ち時間を正しく把握し、どこまで自分ができるのかを線引きしましょう。そうすれば、気持ちに余裕が生まれます。その余裕が周りの人とのよい関係性をもたらしてくれるのです。
「時間を見積もること」は、自分の目標達成に役立つだけではなく、人との関係性構築にまでも影響を及ぼす重要なものです。
あなたは自分の持ち時間を把握できていますか。
タイムコーディネート手帳は、3カ月単位で自分の持ち時間を見開きで確認できます。また、ウィークリーページに見積もり時間を書き込める欄もあるので、自分の持ち時間や見積もり時間の把握に適しています。
時間を見える化して、時間の見積もりの甘さを解消していきましょう。
まとめ:時間の使い方を見直せばコミュニケーションも良好に
自分に余裕がないと円滑なコミュニケーションがとれず、周りの人との関係性も崩れがちに。うまくいくものも、うまくいかなくなってしまいます。
そうならないために、自分の持ち時間を把握してみてください。概算でいいので、動ける時間や範囲をパッと見えるようにしておきましょう。そして、自分はどこまでやるのか、できるのかを線引きする。その上で、やれることを一生懸命やりましょう。心地よく時間を使うことで、気持ちの余裕を生み、周りとの関係性もよくなっていきます。
一人で抱え込んでしまう前に、適切な自己開示と持ち時間の把握を意識してみてくださいね。
文:吉武 麻子
編集:宮尾 多希
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