タイムコーディネート手帳で心地よく頑張れるようになった vol.48

以前から行動力はあったものの、感覚で動くので疲れや迷いが出てくることもあったという宮尾多希さん。「書く」ことで、今の幸せを犠牲にすることなく、理想の未来を掴みにいけるようになった宮尾さんに、タイムコーディネート手帳の使い方を伺いました。

※本記事は2023年7月25日にお送りしたInstagramライブ配信「わたしの時間と手帳のつきあい方」でのインタビュー内容を再編集したものです。

宮尾 多希 さん

マスタータイムコーディネーター
言語化コーチ/教育で繋がる会代表

教育心理への関心から公立の小学校教員となる。仕事ぶりを評価される一方、自身は心の不一致を感じ悶々とする日々を過ごす。その後、産休・育休を経て復帰するも、心がついていかずに退職。やりたいことも自信もない空っぽな自分がこれから何ができるのか、徹底的に向き合ったところ、情熱も強みも本当はあったのだと気づく。

その後、築100年の祖母宅がある田舎へ移住。これまでの経験を生かし、肩書きや立場を超えた本来のパワーを取り戻すためのオリジナルプログラムを構築。現在は、「言葉にすることで心は解放され、言葉にすることで人生は前に進む」を信条に、言語化コーチとして活動している。

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目次

行動の波をコントロールできるようになった

吉武 麻子(以下、吉武):タイムコーディネート手帳を使ったことで、どんな変化がありましたか?

宮尾 多希さん(以下、宮尾):やっぱり時間が見える化できたことが大きな変化ですね。私は今までも行動はできていた方だと思うんです。とはいえ、感覚で動いていたので、「よし、これをやるぞ!」と決めた勢いで行動はできるけれど、疲弊してしまったり、本当にこれってやりたいことだったのかな?と迷ったりすることもありました。もちろん「今回はうまくいったぞ」ということもあるんですが、できたりできなかったりの波があったんです。

タイムコーディネート手帳で時間を整理して、どう行動するかをあらかじめ手帳に書くようになったことで、どうやったら自分は行動できるのか、うまくいくパターンがわかったのが一番大きいです。

吉武:感覚派で行動力がある方は、馬力で動こうとしてしまうところがあるんですよね。それがうまくハマるとグッと進めるけれど、うまくいかないときもある。

タイムコーディネートでよくお伝えするのは、フラットでいることの大切さです。波があると自分も疲弊するし、下がったものをまた上げるにはエネルギーも必要になります。確かに、時間を見える化すると、自分がフラットに進めるきっかけを見つけやすいのかもしれませんね。

大きな目標と「今」をつなぐもの

吉武:夢や未来のありたい姿を思い描くのが得意な方と、目の前の現実をしっかり見て行動していくのが得意な方がいると思うんです。前者の方は、理想の未来をありありと描けてしまう分、今やるべきことがいかに自分の理想と繋がっているかの確認作業が欠かせません。それをやらないと、進んでいる実感が持てずにやる気をなくしてしまうからです。いきなりエベレストを目指して、登頂できない自分を責めるようなことをしてしまいがちなんですよね。

宮尾:はい、エベレストを目指しちゃうタイプです。タイムコーディネート手帳のすごいところは、大きいエベレストのような目標もしっかり書けるし、そこからやるべきことを1年や3ヵ月に落とし込んで、今週、今・・・・・・とすべてを網羅できているところだと思います。この一冊があれば、一番大きなビジョンも、そこからのステップも、今自分がやるべき行動も、すべてが見えるというのが本当にすごいです。よくぞ作ってくれました!

吉武:うれしいです。最近、「夢を夢のままで終わらせない手帳」というフレーズをよく使っています。そう言われることが増えたから、というのもあるんですが、未来設計とか、自分が好きなことやワクワクすることを書き出す手帳はこれまでもあったんですよね。私も実際にいろいろ書き出してみたけれど、それが行動に繋がったかというと、あまり繋がりませんでした。

たとえば、「映画を見に行く」「温泉に行く」といった1回で叶うようなことはリストにすることで叶いやすくはなるかもしれません。だけど、タイムコーディネート手帳を使ってくださっている方は結構大きなビジョンやミッションを持っていて、行動を継続しないと叶わないものを思い描いている方も多いんですよね。それは書き出すだけでは辿り着けないんです。かといって、今日のToDoリストを書き出したとしても、それもまた夢には届かない。

宮尾:今日のToDoリストとビジョンがいかに繋がっているか、ですよね。

吉武:そうなんです。そのビジョンと行動を繋ぐものが『3ヵ月プロジェクトシート』なんです。見開き1枚で3ヵ月の行動計画を立てられるシートなんですが、これをやってみたことがなかった、という方がすごく多いんです。でも、ここがすごく大事なところなんですよね。ビジョンに辿り着くためにはどうするのかを描くことによって、今やるべきこともその必要性が腹落ちできるから、行動できるようになってきます。

大きな目標と「今」をつなぐ『3ヵ月プロジェクトシート』

宮尾:私は小学校の教員をしていたんですが、当時は『教務手帳』というものを使っていました。いわゆるウィークリー手帳で、一週間の時間割を書き込んで、それに合わせて授業の準備をしていくというものでした。年間目標も書けるようにはなっていたけれど、年間目標とウィークリーはまったく繋がっていませんでしたね。

学校にも3ヵ月という単位はすごくぴったりだと、今、思いました。3ヵ月くらいのプロジェクトで子どもたちがどんな風に変化するのかを描いて、そこに向かって一つ一つステップを踏んでいくと、先生にとっても子どもたちにとっても、すごく成長がわかりやすいし、促進されるように思います。

吉武:それは嬉しいですね。ぜひ、教員のみなさんにも伝えてください!

今の幸せを犠牲にせずに目標を叶える

吉武:以前、多希さんが「時間が整ったら、自分が整った」と話してくださったんですが、そのことをもう少し詳しく聞かせていただいてもいいですか?

宮尾:はい。私は以前から、人生がうまくいかないときには自分を整えるようにしてきました。自分が整えば、自分の軸がしっかりするので、その軸に沿って進めばいいと思えるからです。ただ、実際にビジョンややりたいことに向けて行動していると、疲れてきたり、「本当にやりたいことだったのかな」と迷いが出てきたりすることがあったんです。

自分の軸に沿って行動しているはずなのに、なぜか疲れていました。叶った夢は確かにあるけれど、今の自分は幸せなのかというと「幸せだ」とは思えなかったんです。

それが、時間を先に整えるようになると、その瞬間その瞬間でちゃんと幸せを実感できるようになりました。頑張りすぎていないし、無理しすぎてもいない。でも、ちゃんと理想を実現する方向に動けている実感があります。今も幸せだし、目標のためにもしっかり行動できている、これが本当の意味で自分を整えることなんだと今は感じています。

吉武:そうなんですよね。目標や夢を実現するには、アクセルを踏んで、フル回転で「よし、頑張るぞー!!」って気合いでなんとかするところがこれまではありました。私達より少し上の世代までは、仕事もそうやってきていたし。これまでの時間管理術も、タスクを細かく分解し、隙間時間に埋め込んで、できる限り多くのタスクをこなすことで目標達成を目指していました。

けれど、それでは疲れてしまうことに、みなさん気付きはじめているんですよね。コロナをきっかけに、働き方や時間の使い方も変わって、今まで知らなかった「幸せの形」に気づいた方も多かったと思います。

ある会社員の方は、これまでは本当に仕事ありきで、時間の使い方を考えていたそうです。それがテレワークになり、小さいお子さんの送迎を奥さんと交代しながらやるようになって、「こんな世界があるんだ」と感じたそうです。これまで知らなかった幸せを知ってしまったんです。だからこそ、これからの生き方・時間の使い方を考えるときに、この知ってしまった幸せを大切にしたい気持ちと、やっぱり仕事でも成果を出したい気持ちとの間で葛藤している、とおっしゃっていました。

今の幸せも、未来の幸せも、どうやったら掴みに行けるのか、ということですよね。それには「時間管理」ではなく、「タイムコーディネート」が必要なんです。自分が心地よく感じる時間の使い方を自分でコーディネートする必要があります。

心地よくといっても、ゆったり、のんびり過ごすことが全てではありません。ここぞという時にはグッとアクセルを踏んで頑張ることも必要です。けれど、頑張る期限を決めましょう。そして、その後には、しっかりと自分を心身ともに潤す時間を確保することも忘れてはいけません。ずっと同じ時間の使い方をしなくてはいけないわけではないんです。

宮尾:そうですよね。グッとアクセル踏んで頑張る時もあるし、かといってその頑張りを一生続けると思うとやっぱり辛く感じてしまいます。タイムコーディネート手帳でちゃんといつまで頑張ればいいのかが見える化できているので、安心して頑張れるんだと思います。

私は特に、今頑張って、後でラクをしようと思うタイプでした。だからこそ、今は耐えるとか、我慢するといった思考に陥りがちです。だけど、心地よく頑張ることができるのがタイムコーディネートなんだと思います。

吉武:確かに、目標達成のためには、自分に厳しくすることが必須といった思い込みを持った方は多いですね。

心地よさを追求することの大切さを子どもから学ぶ

宮尾:自分に厳しくする生き方をしていると、子どもにもやっぱりそれを要求してしまうような気がしています。

子どもは今を生きているから、自然と自分の心地よさを選ぶことができますよね。今日も学童に行く予定だったのに「行きたくない」と言い出して、お休みしたんです。でも、私も麻子さんから「自分の心地よさは自分で選んでいいんだ」と教わったことで、子どもの選択も受け入れやすくなりました。

実際に学童を休むと、自分から勉強を始めることもあります。まずは自分の心地よさを大事にすることでエネルギーが増すということを私は子どもから教わりました。

吉武:自分の心地よさとはどういう状態なのか、何をすることなのか、どういう環境に身を置くことなのか、そういうことを把握してないと、時間を心地よくないことに使ってしまうんですよね。

私は中学生のときに「楽しかったことベスト3」を書いていた、とよくお話しています。当時は無意識にやっていましたが、「楽しいことをして過ごしたい」という欲求が私の中にあったからなんですよね。だから、楽しかったことを書き留めて、積み上げたかったんだと思います。

そのおかげで、大人になってからも、無意識レベルで楽しいことに時間を使おうとするんです。飲み会でも楽しくないとふらーっと抜けて帰るとか、やっていましたから。

宮尾:私は逆に、楽しいことはあまり積み重ねてこなかったんです。でも今は、一行日記を取り入れています。手帳の下の方に、毎日一行書く時間を意識的に持つようになってから、何だかいい感じなんです。

楽しかったことや心地よく過ごしたことって日々の忙しさでやっぱり忘れてしまうんですよね。だからこそ、書いておくことはすごく大事だと実感しています。

書くことが自分を支え、守ってくれる

吉武:私自身はタイムコーディネート手帳に毎日の楽しかったことを書くことは今はしていません。けれど、やっぱりグッと気持ちが上がった時、下がった時には今も書き留めるようにしています。どこに違和感があったのか、何が楽しかったのかは毎日ではないけれど、今も書いているんです。自分にとっての楽しいことメモが自分を守る術になると感じます。

私が「楽しかったことベスト3」を書いていた中学生の頃は、学校が自分の属しているコミュニティのすべてだと感じていました。けれど、今は、以前と違って子どもも自分の学校だけが唯一のコミュニティではなくなっていますよね。自分が身を置く環境にはいろいろな選択肢があります。だからこそ、自分にとっての心地よさを理解しておくことがますます必要になります。

大人はさらに選択肢が増える分、自分にとっての楽しいことをメモしておくことが自分の支えになるはずです。

宮尾:わかります。日々の楽しかったことや嬉しかったこともそうだし、目標に向かって頑張ってきたことも全部記録として残っているので、それは支えになっていますね。

吉武:そうなんですよね。過去の手帳を振り返ると、「こんなことで悩んでいたんだ」とか「自分、頑張っていたなー」と思えるんです。毎年これを積み重ねていくと、本当に財産になりますよね。自分が頑張ってきたこと、そしてそれが未来に繋がっていることを実感できるから。

今の自分を生かしきれていないモヤモヤを抱えている方もいらっしゃると思います。私自身も、「もっと何かできるはずなのに」「全然ダメだ」と、30代の頃はモヤモヤしていました。そういう方も葛藤や試行錯誤を手帳に書き残すことが、自分を生かしきることに繋がると思います。なので、今の自分にモヤモヤしている方にもぜひタイムコーディネート手帳を使っていただきたいです。

タイムコーディネート手帳が背中を押してくれる

吉武:多希さんが特にこのページは自分が変わるきっかけになった、と思うページはありますか?

宮尾:『VISION逆算シート』ですね。日々のことだけに無我夢中になっていると、自分のビジョンとかけ離れてしまう感覚がありました。だから、『VISION逆算シート』で自分のビジョンを都度振り返ることを大事にしています。

振り返りに欠かせない『VISION逆算シート』

あと、つい最近まで『3ヵ月プロジェクトシート』は直近の3ヵ月だけに集中するものだと思っていました。けれど、もう少し先の3ヵ月も見据えて、少しずつ書き込むといいということを聞いて、すごく納得したんです。

3ヵ月という枠を意識するあまり、私はこの枠のなかだけで生きようとしていたところがありました。けれど、この枠はもっとゆるやかなもので、3ヵ月はその先の人生に繋がっているんですよね。その先もうっすら捉えながら目の前の3ヵ月に向き合う心地よさを味わえるようになってきて、『3ヵ月プロジェクトシート』が私の背中を押してくれていると感じられるようになってきました。

吉武:そうでしたね。『3ヵ月プロジェクトシート』に書くプロジェクトについて、「4ヵ月かかっても、5ヵ月かかってもいいんですよ」とお伝えしたら、多希さんは驚いていましたよね。やりたいことの中には、3ヵ月では明らかに時間が足りないものもあると思います。それを無理に3ヵ月でやろうとする必要はありません。

「『3ヵ月プロジェクトシート』はどのタイミングで書いているんですか?」というご質問もよくお受けします。私の場合は、もう年間で事業が回っているので、結構先のことまで書けてしまうんです。けれど、自分が何をしたいのかが定まっていない方やここからアクセル踏んでいこうとしている方は、次の3ヵ月はすでに書いてあって、次の3ヵ月もぼんやりと見えているといいですね。

実際に動くことで、またその先の動きもどんどん決まってくると思うので、見えてきた時点で書き込む感じです。そうやって書いていくと、6ヵ月先までは大体どんな感じで動くのかが見えてくるはずです。

やり切るからこそ分かることがある

吉武:私が一番大事だと思っているのが、「やり切ること」です。それは大きいも小さいも関係なくて、「これをやる」と決めたことを続けることって大変なことなんです。続けるだけで願いは叶う、と言ってもいいくらいです。だけど、続けることがいかに大変かはみなさんもご存じだと思います。

そして、ただ続ければいいかというとそうではないですよね。やっぱり自分が「やり切った!」と思えるくらいまで続けることが大事なんです。なぁなぁで続けるのではなく、しっかりと期限や目標を決めて、やり切る。そうやって、やり切ったことでしか感じ取れない感情があるんです。

集中してやってみることで、これまで握りしめていたものが「もう、これは必要ない」と思えたり、次に進むべき世界が見えたりします。だから、どんな小さなことでもいいので、一旦はこれと決めたことをやり切ってみていただきたいです。

宮尾:今のお話を伺って、いかに以前はやりきれていなかったかを実感しました。やろうと決めてもやりきることができていないから、進んでいる実感が持てなかったんですよね。

吉武:頑張っていろいろやってはいたものの、ひとつのことをやり切ることが足りなかったのかもしれないですね。

宮尾:そうですね。以前は、感覚的にやっていたので、結局中途半端になっていたんです。今は、一旦手帳に書くことで、ひとつのことに集中できるようになったんだと思います。

吉武:そう感じていただけるのはとても嬉しいです。最後にメッセージをお願いします。

宮尾:毎日を忙しく過ごしている方にとって、手帳を書くというのは、負荷がかかることかもしれません。私もそう感じていました。けれど、一回書いてみると絶対に気持ちがラクになります。頑張り過ぎて忙しくしてしまう方にこそ、タイムコーディネート手帳を使ってほしいです。

私は言語化コーチとして、みなさんの内側にある想いや本当の強みを言語化して引き出すお手伝いをしています。また、月に1回、「教育で繋がる会」という対話会を開催しています。興味とタイミングが合うときに、ぜひ参加していただければと思います。

宮尾多希さんInstagram:
https://www.instagram.com/kazuki_miyao

吉武:ありがとうございます。「教育」は多希さんと私の共通の想いでもあるんですよね。より良くなるために教育に携わりたいという大きなビジョンを持ちながら、それぞれの今やるべきことをやっています。多希さんは学校の先生だったというご経験もあるからこそ、より現実的な現場の声が聞けると思うので、教育に関心がある方はぜひ対話会へご参加いただけたらと思います。

多希さん、今日はありがとうございました。

宮尾:ありがとうございました。

インタビュアー:吉武 麻子
編集:長谷部 敦子

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