以前は朝から晩まで仕事漬けだったという黒羽 照葉さん。疲弊しない働き方を試行錯誤しているうちに、動ける時間を増やすためではなく、休む時間を確保するためにこそ手帳を使うべきだと気づいたそう。一度は挫折した手帳を活用できるようになったきっかけや、2025年版からタイムコーディネート手帳のブランディングに関わることになった裏話についても伺いました。
※本記事は2024年7月31日にお送りしたInstagramライブ配信「私の時間と手帳の付き合い方」でのインタビュー内容を再編集したものです。
黒羽 照葉(terico.) さん
ブランドエディター/デザイナー
美術大学を卒業後、グラフィックデザイナーとして就職。世に出した商品は会社員生活の約10年間で3000点を越える。なかでも、ロゴとパッケージを担当したShupattoコンパクトバッグは、メガヒット商品に。
独立後はブランド【ヘンテコレクション】を立ち上げ、個人事業主や小さな会社の経営者に向けて、ブランディング&デザインを提供。オリジナルコンテンツは延べ3000人以上が受講。現在は、2020年より開講した【ブランド発掘プロジェクト】にて、事業主の個性をそのまま活かしたオリジナリティーの高いブランド構築プロジェクトを運営中。
▼ホームページ
https://hentecollection.com/

1年目は3ヵ月で挫折したタイムコーディネート手帳
吉武 麻子(以下、吉武):タイムコーディネート手帳を使い始めたきっかけを教えてもらえますか?
黒羽 照葉(terico.) さん(以下、terico.):「時間管理」ではなく、「タイムコーディネート」という新しい概念を提唱している人がいることを共通の知人を通して知りました。
当時の私にとって時間管理は苦手な分野だったので、タイムコーディネートってなんだろう、と気になりました。ただ、苦手意識が強すぎて学ぶことは自分には無理だと思っていたんです。そんなときにタイムコーディネート手帳が発売になることを知りました。手帳であればチャレンジするハードルも低いし、タイムコーディネートの概念が手帳を通して取り入れられるんじゃないかと思って、購入したんです。そこから毎年使い続けています。
吉武:タイムコーディネート手帳を使ってみてどうでしたか?
terico.:実は1年目は全く使いこなせず、3ヵ月で挫折しました。ただ、翌年の手帳が発売になる頃、仕事が本当に忙しくなっていたんです。時間についてこのまま見て見ぬフリをしていると、私は一生朝から晩まで仕事をするだけの人生で終わるぞ! という危機感を持ちました。そこで、仕事のスケジュール管理は人の力も借りつつ、私自身もタイムコーディネート手帳を真剣に使い始めたんです。
まずはタイムコーディネート手帳のInstagramをちゃんと見るところから始めました。手帳を使う上でのヒントがたくさんありますよね。Instagramを見ながら自分が取り入れられるエッセンスを採用していたら、いつの間にかタイムコーディネート手帳を活用できるようになっていました。
吉武:すごい! 嬉しいです。
terico.:最初はノウハウがわからないと前に進めないので、Instagramの情報には助けられました。
「動ける時間」ではなく「休む時間」を増やす
terico.:最近、手帳をさぼり気味だった時期があったのですが、手帳を書かないことで何か変化があったかを考えてみたんです。私は手帳を書かないと、自分のすべての時間を仕事に使ってしまい、疲弊してしまうことに気づきました。
タイムコーディネート手帳を活用できているときは、バーチカルで仕事時間を9時から18時までに区切っているので、18時までに仕事を終わらせる意識があるんです。オフの時間を適切に取れているかどうかも把握できています。手帳を書かなくなると、途端にその区切りを自分がつけられなくなってしまうのです。
私の場合、手帳を書けないときは、仕事に没頭し過ぎている危険な状態です。なので、『3ヵ月プロジェクトシート』を見直して、自分が何のために目の前の仕事をしているのかを思い出すようになりました。

吉武:一つのことに没頭できることは素晴らしいけれど、やっぱり没頭しすぎると弊害もでてきますよね。近視眼的になってしまうので、「なんのために私はこんなに頑張っているんだろう」「私の人生はこれでいいのか」なんて気持ちになってしまいがちです。
terico.:同じ場所でクルクル回るハムスターになった気持ちです。こんな一人ブラック企業をするために今の仕事を始めたわけじゃないのにって思いますよね。
吉武:ウィークリーページはバーチカルで24時間×1週間が見渡せるから、自分が使える時間を把握しやすいです。一見、時間はたくさんあるように見えるかもしれませんが、terico.さんのように仕事の時間に線を引いて可視化していくと、案外使える時間は少ないことがわかります。その限られた時間のなかで、優先度を決めて何をやるかを決めていく必要があります。

terico.:以前はいかに自分の動ける時間を捻出するかを考えていましたが、一人で働くようになってからは逆に、いかに休む時間をちゃんと確保するかを考えるようになりましたね。バーチカルで動く時間、休む時間を可視化することが自分への意識づけにもなっています。
吉武:自分の時間を大切にしたくて起業を考える方も多いですが、実際は驚く程にやるべきことがたくさんあります。ビジネスを軌道に乗せるには相当踏み込んで頑張らないといけない時期があります。だからこそ、自分が本来大切にしたかった時間を意識して守らないと「なんのために今の働き方を選んだの?」となってしまいますよね。
タイムコーディネート手帳カバーの色が毎年変わる理由
吉武:terico.さんには2025年版からはユーザーとしてだけではなく、プロモーションに使用するバナーなどのビジュアル面でタイムコーディネート手帳のブランディングにも関わっていただいています。2025年版の手帳カバーの色がほとんど決まったタイミングで入っていただいたんですが、「本当にこんなに変えていいんですか?」と何回も聞かれましたよね。

terico.:タイムコーディネート手帳のイメージは、シンプル・爽やか・きちんとしている。しっかりとブランドイメージが確立された状態で前任の方からバトンを受け取りました。
ブランドイメージはコロコロ変えるものではなく、継承していくことが基本です。けれども、手帳カバーの色は大きく変わることはすでに決まっている。大きな変化があるなかで、これまでのブランドイメージを崩さずにどう表現するかはチャレンジングでおもしろい経験でした。
吉武:毎年手帳カバーの色を変える理由は、手帳を使ってくださるみなさんに「軽やかさ」を持ってほしいからなんです。手帳は毎年変えるものだから、そのときの気持ちで遊べる小物だと思うのです。タイムコーディネート手帳のユーザーさんは真面目で頑張り屋さんが多いから、もっと軽やかに遊びを取り入れてほしい気持ちがあって、毎年いろいろな手帳カバーの色を出しています。
terico.:なぜ手帳カバーの色を大きく変えるかの理由を伺って、私も納得はできました。ただ、これまで時間をかけて作り上げられたイメージを崩してしまわないか、プレッシャーは大きかったです。麻子さんのように「terico.さんなら大丈夫だからおまかせで!」と一任してくださる方はそういらっしゃらないですし。
吉武:タイムコーディネートの考え方に共感してくれているから方だからこそ、その方から生み出されるものなら大丈夫だと思えるんです。自分が心地よく一緒に仕事ができる人、信頼できる人にお願いしているからこそ、その道のプロにすべてをお任せする。これもタイムコーディネートの考え方です。
デザインは光、時間は心地よさ、軸が決まれば「らしさ」となる
吉武:手帳の撮影もすごく楽しかったです。どうやって撮影のイメージを膨らませたのですか?
terico.:これまでと手帳カバーの色が大きく変わることも悩ましかったのですが、新しい手帳4冊の色調がすべて違うんですよね。これをタイムコーディネート手帳らしいイメージで統一するにはどうしたらいいのかは悩みました。そして、思いついたのが「光」だったんです。
麻子さんご自身がパキッと明るい太陽みたいなイメージの人だから、「夏の太陽の下で撮ったような撮影をしてほしい」とカメラマンさんにお願いをしました。クリアでちょっと強めの光をあてると、影がくっきり落ちる。そんな光をすべての手帳の撮影で取り入れることで、色は全然違っても、同じシーン、同じ空気感を感じられるんじゃないかと思いました。

吉武:手帳の後ろから雑誌を見せるアイデアはどこから?
terico.:強い光をあてると、強い影が出ます。さらに手帳の色もハッキリ出てきます。光、影、色の3つの要素がすでにあるので、立体的な小物を周りに置いてしまうと収拾がつかなくなってしまいます。とはいえ、手帳だけだとシンプルすぎるので、少しだけ要素を入れるとしたら・・・・・・と考えました。その手帳ごとに合った雑誌を背景に少しだけ見えるように配置することで、手帳の個性を少しだけ出しつつ、統一感も出せるんじゃないかと思ったんです。
吉武:なるほど。デザインも軸となる要素を明確にして、その要素に照らし合わせて足し引きすることが大事なんですね。タイムコーディネートの考え方にも通ずるデザインにしてもらえて大満足です。
手帳を買っただけでは時間の使い方は変わらない
吉武:最後にタイムコーディネート手帳を検討している方に向けて一言いただけますか?
terico.:手帳を使って時間を見直すことはダイエットと似ていると思います。ダイエットも痩せるサプリをただ飲めば痩せるわけではないし、ジムに入会しただけでは痩せないですよね。手帳も同じで、買っただけでは時間の使い方は変わりません。
ぜひワークショップに参加したり、Instagramのアカウントをチェックしたりして、タイムコーディネートの考え方を取り入れてほしいです。これまでの自分を変えるきっかけになると思います。
吉武:ワークショップでタイムコーディネートの考え方をインストールしていただくと、時間の使い方の概念が少し変わるのではないかと思います。まずは一度、タイムコーディネート手帳を使ってみていただきたいです。
タイムコーディネート手帳づくりの裏話もできて、うれしかったです。terico.さん、ありがとうございました。
terico.:ありがとうございました。
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https://lp.hentecollection.com/jibun-goto-lp/
インタビュアー:吉武 麻子
編集:はせべ あつこ