以前は実行不可能な量のタスクをスケジュールに詰め込んでいた塚本万智さん。今では、「1日のほとんどがバッファだ」と言うほどにやることを厳選するようになったそう。そんな塚本さんに変化のきっかけやタイムコーディネート手帳の使い方について伺いました。
※本記事は2024年8月21日にお送りしたInstagramライブ配信「私の時間と手帳の付き合い方」でのインタビュー内容を再編集したものです。
塚本 万智 さん
子ども料理教室 kidscook運営
株式会社 ABC Cooking Studioにて法人営業や商品開発、教室運営に約10年間携わる。その後、フリーランスとして独立。
「ライフステージが変化しても、好きなことややりたい仕事をして生きることは楽しい! そう子どもに背中で語れる親でありたい。同じように願うパパママも応援したい」という想いから、東京都港区三田に4歳〜小学校6年生向け料理教室kidscookをオープン。
豊かな食経験と人とのつながりの中で生きる力を育み、みんなが日々の暮らしに幸せを感じられる社会を創ることを目指している。
岐阜県出身。2児の母。
▼子ども料理教室 kidscookホームページhttps://kidscook.studio.site/
時間との向き合い方を教えてくれる手帳
あまの ゆうこ(以下、あまの):タイムコーディネート手帳の良さはどんなところにあると思いますか?
塚本 万智さん(以下、塚本):考え方を教えてくれるところです。世の中には手帳がたくさんあって、それぞれに工夫を凝らしてありますが、手帳単体ではそこまで大きな違いがあるわけではないと私は思っています。
タイムコーディネート手帳は「タイムコーディネート」という概念を伝えるためのツールだからこそ、この手帳を使うことで時間との向き合い方がわかりました。ページの使い方だけではなく、ページの役割や時間の捉え方をセットで教えてもらえるところが他の手帳と違いますよね。
あまの:タイムコーデイネート手帳は手帳単体と全4回のワークショップ参加権付きのものと2種類あります。ただ手帳の使い方を伝えるのではなく、タイムコーディネートの考え方を伝える必要があると考えているからこそです。
塚本:以前は、「たくさんタスクをこなして、時間をうまく管理しなくては!」と思っていました。だから、自分にとっての心地よさを大切にするタイムコーディネートの考え方を理解できるまでに時間がかかったんです。それでも、考え方を理解した上で手帳を使えたからこそ、変われたように思います。
自分のキャパシティを正しく見積もる
あまの:以前はタスクをたくさん詰め込むタイプだったのでしょうか。
塚本:今だったら、絶対に一日でこのタスクをこなすのは無理だと思う量を詰め込んでいました。そして、「あぁ、やっぱり今日もできなかった」「私は自分で決めたこともできないんだ」と落ち込んでいましたね。
あまの:タイムコーディネート手帳を使って、どう変化しましたか?
塚本:バッファ(余白)をつくるようになったのが一番大きな変化です。それまではとにかく使える時間をタスクで埋め尽くしていたので、一度計画が崩れると取り戻すことができませんでした。
自分が何にどれくらいの時間がかかるのかを見積って手帳に記入していきますが、その見積りが大きく違っていたんです。最初はよっぽどのデキる人でないとこなせない見積時間を設定していました。実際にどれくらいの時間がかかったかを振り返ることを繰り返して、自分の本来のキャパシティを把握していきました。
ウィークリーページにはタスクにかかった時間を記入できるスペースも用意
今は、1日のなかで自分が本当に集中できる時間は2時間あったらいい方だと思っています。
バッファをしっかりと取るようになって、子どもの体調不良にも余裕を持って対応できるようになりました。今はゆとりを持って、心地よく暮らせています。
「やらなきゃいけないこと」ではなく「やらないこと」が増えた
あまの:バッファをしっかり確保できるようになったのは、どうしてですか?
塚本:タスクを手放す方向に思考をシフトできたからだと思います。以前はやらなきゃいけないことにばかり意識が向いていたので、自分でどんどんタスクを増やしていました。
今は「やらなきゃいけないこと」は減って、「やらないこと」が増えました。以前は家事にも「毎日やらなきゃ!」と思うことがたくさんあって、多くの時間をかけていたんです。今は家事に対して負担感がないのは、やらなくても平気なことが増えたのだと思います。
あまの:私は人と無理に会わなくなりました。ご縁がある人とはまた繋がれるし、不安感や義務感からお誘いに乗らなくなったので、人と会う機会がグッと減りました。「やらなきゃ」「すべき」と思っていたけれど、実はやらなくていいことは人それぞれにありますよね。
年間カレンダーで全体を把握する
あまの:タイムコーディネート手帳で特に活用しているページはありますか?
塚本:年間カレンダーです。
レッスンを受けてくれるお客様と自分の子どもの休みが同じだからこそ、しっかりと年間でスケジュールを組み立てておかないと、レッスンが組めないし、プライベートを犠牲にすることにもなりかねません。
子どもの長期休みや連休を年間カレンダーで可視化した上で、ここは緩める時期、ここは頑張る時期といったように1年をイメージしています。
あまの:私はこれまで日付の確認ぐらいでしか年間カレンダーを使えていなかったので、万智さんの使い方が新鮮だし、マネしたいです。
性格や仕事、環境によっても、1週間単位、3ヵ月単位、1年単位など、人によってぴったりくる時間の単位は違いますよね。
塚本:私はウィークリーで細かく管理することはしていません。1年をざっくりとカレンダーで把握して、『3ヵ月プロジェクトシート』でやることを具体化するくらいの時間軸が私にはちょうどいいですね。
長期視点でやりたいことを絞る
あまの:タスクを手放せるようになったことも、年間カレンダーで1年を把握するようになったからなのでしょうか?
塚本:1年でやりたいことをまずは絞るようになりました。1年で取り組むことを最初に厳選しているので、やらなくちゃいけないタスクも自然と少なくなったんです。
私は元々いろいろとやりたいことをたくさん思いつくタイプです。今もかわいい子ども用エプロンをつくりたいとか、子ども用の調理器具だけを集めたサイトをつくりたいとか、やりたいことはいくつもあります。
以前は思いついたやりたいことを一度に進めようとしていたので、時間も精神的にも余裕がなくなって疲れてしまっていたんです。今は、諦めるわけではないけれど、これは今のタイミングじゃない、と前向きに先送りができるようになりました。
あまの:長期視点で考えられるようになったから、タスク自体が減ったのですね。
塚本:やることを詰め込むのではなく、絞るようになったことで、「今日も何もできなかった」と落ち込む日が減りました。
タイムコーディネート手帳を使って、正しく自分のキャパシティを見積もれるようになり、長期視点で計画を立てられるようになったので、今はとても前向きな気持ちで過ごせています。
▼塚本 万智 さんが運営する子ども料理教室 kidscookのInstagramはこちら
https://www.instagram.com/kidscook.mita
インタビュアー:吉武 麻子
編集:はせべ あつこ