追われるものだった「時間」が自分でコントロールできるものに変わったのは、やりたいことから逆算して目の前の時間の使い方を決められるようになったから、とおっしゃる姿勢ウォーキングインストラクターのSonokoさん。そんなSonokoさんにタイムコーディネート手帳の使い方を伺いました。
※本記事は2023年7月14日にお送りしたInstagramライブ配信「わたしの時間と手帳のつきあい方」でのインタビュー内容を再編集したものです。
Sonokoさん
姿勢ウォーキングインストラクター
大学卒業後、母校の中高一貫校にて英語専任教諭として働きながら、ウォーキングインストラクターの資格を取得。ウィーンに居を移し、外資系航空会社初の日本人客室乗務員として世界を飛び回る。
長男妊娠を機に香港へ。その後、東京に戻ったタイミングで大病を患う。「命を頂けるのなら、必ず誰かのお役に立てる仕事をする!」と決意。次男を奇跡的に妊娠・出産後、香港に戻り、有名サロンShineにてウォーキングレッスンをスタート。2年半後にはニュージーランドへ転居し、午前中はコーヒーバリスタ、午後はウォーキングインストラクターとして働きながら5年間過ごした後、2017年に再び香港へ。
「次の3歩が変わると人生が変わる」をモットーに、お客様の歩き方と向き合い、姿勢の改善・歩き方の改善に取り組み続けている。
起点がやるべきことからやりたいことに変わった
吉武 麻子(以下、吉武):タイムコーディネート手帳を使って変化したことはありますか?
Sonokoさん(以下、Sonoko):タイムコーディネート手帳を使いはじめて、「時間ってこうやって考えて使うんだ!」と衝撃を受けました。私が特に活用しているのは、『VISION逆算シート』と『3ヵ月プロジェクトシート』です。
Sonokoさんも活用している『3ヵ月プロジェクトシート』
手帳購入者向けのワークショップで教えていただいた、『VISION逆算シート』から『3ヵ月プロジェクトーシート』へ、そして、『3ヵ月プロジェクトシート』から『Weekly』へ、毎週やるべきことを落とし込むという一連の流れが私にとっては衝撃でした。
タイムコーディネート手帳を使うまでは、ToDoリストを作って、チェックしていたんです。でも、だんだん苦しく感じる自分もいました。タイムコーディネートでは、まずはやりたいことがあって、それを時間に心地よくどう組み込んでいくかを考えますよね。この考え方が大好きになりました。
吉武:ありがとうございます。みなさん、ToDoリストを作った経験があると思います。でも、リストを消す楽しさを覚えると、すぐにできる簡単なことばかりをリストアップして、消していきがちです。目の前のちょっとした気がかりが減るので、短期的には満足度は高まります。けれど、本当にやりたいこと、自分にとって大切なことはリストに残ったままになってしまうんです。
タイムコーディネートでは本当にやりたいことから、次の3ヵ月は何に取り組むかを考えます。そのために、目の前の1週間をどう過ごすか?具体的な行動に落とし込むんです。そして、やりたいことに繋がる時間を最初に確保します。ToDoリストにある細かなやるべきことは、隙間時間や集中力が切れたときの気分転換として取り組みます。考え方がまったく逆なんですよね。
Sonoko:目の前のやるべきことからではなく、自分のやりたいことやありたい未来から逆算して考える。この考え方が私にとってはすごく新鮮でした。これまでは目の前のレッスンに追われていたのが、タイムコーディネートの考え方を取り入れたおかげで、やりたいことに取り組めるようになったんです。考え方ひとつで、こんなにも変化するんだと実感しています。
吉武:嬉しいです!目の前にはやるべきことがあって、それももちろん大事なことではあります。だけど、それだけをずっと続ける先に自分のありたい未来があるかは考えたいですよね。どれだけ目の前のことに忙しくても、自分の未来のために時間を使う。この視点をもつだけでも意識は変わります。
Sonoko:そのための『3ヵ月プロジェクトシート』なんですね。やりたいことをリスト化する手帳は結構あるけれど、この『3ヵ月プロジェクトシート』は他にはないです。
吉武:そうなんです。やりたいことリストや、業務の進捗を確認しやすくするガントチャートはありますが、もう少し俯瞰して全体をみることがとても大事なんです。私はタイムコーディネート手帳を作る前からExcelで自作していたくらい『3ヵ月プロジェクトシート』は必要なものだと思っています。
タイムコーディネート手帳は書く時間より見る時間が大切
Sonoko:今実感しているのは、月に1回でも書いたものを見返す時間を作らないと、時間は流れてしまう、ということです。
吉武:そうですね。私も「タイムコーディネート手帳は書き込む時間よりも見る時間が長い手帳です」とよくお伝えします。手帳を見れば、進捗具合がわかるし、軌道修正もできます。だから、書いて満足するのではなく、常に手帳を見てほしいと思っています。そして、定期的にじっくりと振り返る時間も必要です。Sonokoさんは定期的に振り返りはされていますか?
Sonoko:はい。所属しているコミュニティで毎月30分、振り返りの時間があるので活用しています。あと、タイムコーディネート手帳のワークショップが私にとっては欠かせなくなっています。立ち返る時間はすごく大切ですよね。
吉武:ワークショップを活用してくださる方はすごく多いので、うれしいです。私から手帳の使い方をレクチャーするだけではなく、ワークタイムやシェアタイムを設けているので、なかなか自分だけでは振り返りの時間が取れない方はこういった場をうまく活用してほしいです。人と交流したり、目標を宣言したりすることは次の行動へのいい後押しになるんですよね。
Sonoko:ワークショップはすごくいいので本当におすすめしたいです。
子どもに「おかえり」が言えるようになった
吉武:タイムコーディネートを実践するなかでSonokoさんが大切にしていることはなんですか?
Sonoko:明確にすること、です。自分にとって大切なことややるべきこと、使える時間を明確にするようになりました。なので、バタバタしていたとしても、子どもが帰ってきたら「おかえりー!」と、おやつも出せるようになりました。
ただ、大切にしたいのに実践が難しく感じるのは「バッファ」ですね。なかなか作れないです。
吉武:なるほど。「バッファ」つまり余白時間ですね。計画通りにいかないことが基本だからこそ、何も予定のない時間をブロックしておくことが大事だとお伝えしています。
バッファの取り方は1日の最後に時間を確保するのもいいですし、フリーランスの方は曜日で固定してもいいですよね。ひとつのタスクにかかる時間を見積もるときにバッファも含めて少し長めに時間を確保する方法もあります。
方法はいろいろあるので、ご自身に合わせた形でバッファを組み込めるようになっていただきたいです。そうすると、2時間で終わると思っていたタスクが3時間かかったときにもバッファ時間で調整できる。この調整できる余白があることが、心地よさに繋がるんですよね。
Sonoko:私も今、自分にとって心地よいバッファの組み込み方を試行錯誤しているところです。
吉武:今までの時間管理術は時短・効率化重視のいかにも仕事術的な感じだったと思います。どれだけ仕事を多くこなして成果を出すかに重きが置かれていました。でも、それは仕事はもちろん、子育てや介護、PTA活動など複数の役割を抱えている人にとっては、超人であることを求められているようなものです。
短期間であれば「よし頑張るぞ!」と気合いで乗り切ることもできます。けれど、それをずっと続けることは難しいんですよね。
長く心地よく続けるために、バッファをしっかりと確保することを習慣化してほしいと思います。
自分の時間の主導権は自分で握る
Sonoko:お客様次第でレッスンが一気に入ることが多いので、レッスンの合間やレッスンが空いた時間にできなかった仕事を入れるようにしているんです。とはいえ、結局ボーッとしていたら終わってしまった・・・・・・ということもあります。
吉武:ボーッとしちゃう時間もありますよね。それは、それだけすごく頑張っているからです。ボーッとしてしまったのではなく、ボーッとすることが必要になっている、ということだと思います。
サポート業をされている方に注意してほしいのは、自分の時間の主導権を自分がしっかりと握る、ということです。フリーランスの方であればレッスンやセッション、会社員の方であれば会議や上司からの頼まれごとなどに振り回されがちです。けれど、できる限り枠を決めて、その中で調整するのが理想です。
相手にすべてを委ねるのではなく、自分の時間を確保した上で調整するのがポイントになります。もちろんすべてを一気に変えられるものではありません。けれど、「こういうものだから仕方がない」と諦めないでほしいんです。少しずつでも調整して、自分に必要な時間を確保できるようになると、時間に追われることは減っていきます。
数字を使って時間の使い方を可視化する
Sonoko:私自身、時間の捉え方が変わりました。お洋服のように心地よく時間をコーディネートする、というのがタイムコーディネートの考え方ですが、これまでは時間を自分がコントロールできるものだと思っていなかったんです。
「いつまでにこれをやらなきゃ」「子どもが帰ってくるまでにこれをやらなきゃ」そんな感じで、目の前のことを必死にこなしていました。そうではなく、俯瞰して上から見るというか、受け身ではなく自分から時間をコーディネートするんだ、という考え方に変わりました。
吉武:確かにそうですよね。私も韓国でキャスティングディレクターとして働いていた時代は仕事にコントロール権を奪われていたんです。ものすごく疲れていました。自分が決めたことではないことに振り回されると、人は疲弊してしまうんですよね。
同じ状況だったとしても、「ここまでは頑張ろう」とか「○時以降は残業せずに帰ってからやろう」とか、自分である程度コントロール権が持てるようになると、実際には時間に追われていたとしてもまだ気持ちは元気でいられます。
なので、どれだけ忙しくても、Sonokoさんにとってはお子さんが帰ってきたらおやつを出して迎える、というのがそうであったように、自分にとっての心地よい時間の使い方をできるようになってほしいです。
どうやったら自分でコントロール権を持てるようになるのかというと、やっぱり自分がどうしたいのかを明確にすることです。そのために、タイムコーディネート手帳には『5つの「私」役割シート』が最初に用意されています。
時間の使い方を可視化できる『5つの「私」役割シート』
24時間を実際に自分がどうやって使っているのかを可視化します。そして、本当はどうしたいのか、理想の使い方もあわせて書き出します。1日24時間を何に何時間使っているのかを洗い出すと、「仕事に思っていた以上に時間を使っている」ということや、「自分にとって大切な時間が全然取れていない」といったことが浮き彫りになるんです。数字というわかりやすいものを使って可視化するから、理想とのギャップを感じやすくなります。ギャップを感じると、人は本能的に埋めたくなるので、行動も変わるんです。
Sonoko:そうですよね。他の手帳と全然違うのがここですよね。
吉武:しかも、まずは睡眠時間を確保しましょう、ということもしつこくお伝えしています。
ある研修をした時に、通勤時間も含めて仕事時間が15時間という方がいらっしゃったんです。そんな状態では睡眠時間もしっかり取れていないですよね。6時間寝たとしたら、もうそれだけで21時間です。残り3時間はご飯を食べて、お風呂に入って、出勤準備をしていたら、あっという間に終わってしまいます。その方は、数字を使って可視化したことで「あ、今のままではいけない」と実感したそうです。
通勤時間はインプットに使って、残業はしないで済むように調整する。そして、それが難しければ、働き方を変えることも視野に入れる、といったように、やることも具体的になっていきます。現状と理想のギャップを具体的に把握することは、行動を加速させるんです。
タイムコーディネート手帳は理想と現実を繋ぐ手帳
吉武:一般的な手帳は、自分の理想ややりたいことを書き出すことをメインとする手帳と、スケジュール管理をメインとする手帳と二極化しています。
タイムコーディネート手帳は、自分の心地よい時間の使い方やどう生きたいのかを明確にしつつ、今、何をするのかを週単位にまで具体的に落とし込んでいきます。
タイムコーディネート手帳を使っている方は「やりたいと頭の中で思っていたことが、こんなに早く実現するとは思わなかった」ということをおっしゃる方が多いんです。どちらか一方だけではなく、理想と現実を繋ぐ手帳だからこそ、やりたいことが実現しやすくなるのだと思います。
Sonoko:まさにその通りです。仕事で「やりたいな」と思うことは出てくるけれど、具体的な行動にまで落とし込むのは難しく感じます。それが、タイムコーディネート手帳の『VISION逆算シート』や『3ヵ月プロジェクトシート』を使うと、無理なく具体化できるんです。
吉武:そうなんですよね。アイデアがたくさん浮かんだとしても、それを実現するには時間も必要だし、ひとつずつ何からやるべきなのかを決めていかなくてはいけません。気持ちが焦るばかりで、全然進まない、ということになりかねないんです。
タイムコーディネート手帳を使うと、ひとつひとつ優先順位をつけてできるようになるので、心地よく時間を使いながら、ありたい未来を掴むことができるんです。
Sonoko:振り返ってみると「あ、できてた!」という感じですよね。もちろん反省点はあるし、できていないこともあるけれど、結果的にはまぁまぁできている状態になるんです。
吉武:タイムコーディネート手帳1年目の方は、どうしてもやりたいことを詰め込みがちです。だから、「思っていたようにはいかなかった」と思われることもあるかもしれません。だけど、これまでだったらただ自分を責めて終わりだったのが、「詰め込み過ぎていたな」であったり、「計画の立て方に修正が必要なんだな」であったり、いろんなことに気付くようになるんです。その積み重ねで、徐々にタイムコーディネートが実践できるようになっていきます。
タイムコーディネート手帳が10月はじまりの理由
Sonoko:2024年の手帳も10月からはじまるんですか?
吉武:はい、2024年も10月はじまりです。どうして10月からにしているかというと、1月スタートだと3日坊主になる方がすごく多いからです。新年は「今年こそ頑張るぞ!」と気合いが入っているから、どうしても無茶な計画を立てがちです。でも、理想の自分を想定して立てた計画はやっぱり長くは続きません。
自分に無理のない現実的な計画を立てるためにも、10~12月は助走期間やこれまでの時間の使い方を見直す期間だと思っていただきたいんです。
毎年タイムコーディネート手帳を使ってくださっている方は、10~12月の助走期間もうまく活用できるようになって、新しい年の4月時点で「もう十分進んだな」と実感される方も多くいらっしゃいます。
Sonoko:10月はじまりって最初はびっくりしたんですが、やっぱりちゃんと意図があるんですね。
吉武:そうなんです。とはいえ、10~12月も「来年のために」とガチガチに計画を立てたら、それも心地よくありません。『3ヵ月プロジェクトシート』がいいのは3ヵ月単位だとそこまで細かく計画を立てられないところです。ざっくりとやりたいことを計画しておくくらいがちょうどいいんです。
Sonoko:ほんとですね。
吉武:最後に、みなさんへメッセージをお願いできますか。
Sonoko:はい。タイムコーディネート手帳はぜひワークショップ付きで試していただきたいです。
そして、私はというと、オンラインで月に2回、1時間ずつのグループレッスンを行っています。みなさんとワイワイ楽しくウォーキングレッスンをしています。
ほかにも、毎週水曜日に日本時間の6時25分から「壁立ちマインドフルネス」をお届けしています。姿勢を正すのに、壁に沿って立つのはすごくいいんですね。壁立ちをしながら、目を閉じて5分間マインドフルネスを実践しています。
ご興味のある方はLitlinkから詳細をご確認ください。
SonokoさんLitlink:
https://lit.link/sonokoposture
吉武:Sonokoさんの姿勢は本当に美しいんです。すごく素敵な方なのでぜひ会ってみていただきたいです。
Sonokoさん、今日は貴重なお話をありがとうございました。
Sonoko:ありがとうございました。
インタビュアー:吉武 麻子
編集:長谷部 敦子