タイムコーディネート手帳で「今」を大切に生きる vol.36

人生の終わりを意識する経験を何度もしたことで、「やりたいことを全部やり切る人生にしよう!」と詰め込み型の時間の使い方をしていたせとまなさん。体調を崩したことをきっかけに時間の使い方を見直し、セルフケアを大切にしながら豊かな時間を送れるようになったそうです。そんなせとさんに、タイムコーディネート手帳を使ってからの変化について、タイムコーディネート手帳プロジェクトメンバーのあまのゆうこがお話を伺いました。

※本記事は2022年12月14日にお送りしたInstagramライブ配信「タイムコーディネート手帳が私たちにもたらしてくれたもの」でのインタビュー内容を再編集したものです。

せと まな さん

マスタータイムコーディネーター
よしよしわたし倶楽部® 部長(鍼灸師)
マインドマップインストラクター

4年で5人の家族を看取り、自身も癌に。心身ともにボロボロな状態になったことで、あらためて日本人らしい養生の大切さに気付く。


鍼灸師としての知識やこれまでの経験をもとに、セルフケア教室「よしよしわたし倶楽部®」を主宰。
忙しいと感じている人こそセルフケアの時間をもつことが大切だと感じ、時間の使い方についても学びを深める。そのなかで知ったタイムコーディネートの考え方に共感し、現在はマスタータイムコーディネーターとしても講座を開催している。

Instagram:https://www.instagram.com/yoshiyoshi_watashi/

目次

やりたいことを詰め込みすぎて全部が中途半端に

あまの ゆうこ(以下、あまの):タイムコーディネート手帳を使う前はどんなお悩みがありましたか?

せと まな さん(以下、せと):「やりたいことは何でもやる!」という気持ちが強くて、詰め込み過ぎた結果、全部が中途半端になっていました。

私は21歳の時に18歳の弟を亡くしたんです。「こんなに人間は早く死んでしまうんだ」と、衝撃を受けました。弟の死を経験して、「やりたいことを全部やるまでは死ねない」と思ったんです。

あまの:実際にはこれまでどんなことをされたんですか?

せと:カリグラフィーにテニス、空手、ステンドグラス・・・。もちろん、今の仕事につながる鍼灸もそうです。生きていくために手に職をつけようという思いもありました。

あまの:やりたいことを実践して、いろいろな経験をまなさんのなかにストックされてきたんですね。

せと:「自分の時間は全部自分のために使いたい!」そう思っていました。けれど、結婚をして、子どもが生まれると、一気に自分の時間がなくなってしまったんです。

でも、私は小さいときから「子育てをしてみたい!」と思っていたので、喜んで自分の時間をすべて子どもに注ぎました。もう子育てが楽しくて!

ただ、子どもが生まれてからは、手帳に書いてあるのは授乳時間や離乳食の内容だけ。少し大きくなってからは、子どもの習い事の時間や保護者会の時間だけでした。自分の時間が全然なかったんです。

そんな過ごし方の使い方をしていたので、タイムコーディネート手帳の『5つの「私」役割シート』にある「個人としての私」が書けったんです。今まで使っていた手帳を見返してみて、自分のために使う時間を作ってこなかったこと改めて気付きました。

だから、「個人としての私」を取り戻すためにも、まずは、このタイムコーディネート手帳を使い切ろうと思ったんです。

「バッファ」の意味がわからない

せと:元々が欲張りで完璧主義なので、手帳も「ちゃんと使おう」と思っていました。ワークショップで教えてもらったことも書き留めて、一所懸命やりました。けれど、正直に言うと、その通りにはできませんでした。全然、ちゃんとできなかったんです。

あまの:手帳もぎっしり書かれていたんですか?

せと:手帳もぎっしりだし、欲張りだから、時間もめいっぱい使おうとしていました。

あまの:24時間を余すことなく、120%ぐらいで使いきりたい!という思いが、手帳に詰め込まれていたんですね。

せと:そうなんです。だから、最初はバッファ(余白)の意味がわからなかったんですよね。

あまの:「バッファの意味がわからない」という声はよく聞きます。余白があったらそこにタスクを詰め込んでしまう方は多いですよね。

せと:余白の「余」って「余り」という意味ですよね。でも、やりたいことをぎっしり詰め込んでいるので、「余りなんかないよ」と思っていたんです(笑)。そうやって、いろいろ詰め込んで忙しくしていたら、具合が悪くなって、ダウンしてしまいました。セルフケアの大切さをお伝えしている自分がダウンするなんて、元も子もない、と反省しました。

それからは、自分のために時間を使うことに遠慮をしなくなりました。自分時間を優先することを自分に許せるようになったんです。

ゆっくりな自分を認めて倍の時間を確保する

せと:バッファをしっかり取るために、まずはひとつのタスクにどれくらい時間がかかるのか、見積り時間を書くようになりました。

タイムコーディネート手帳のウィークリーにタスクの見積り時間と実際にかかった時間を書く欄がありますよね。実際に書いてみると、私の場合、だいたい見積り時間の倍の時間がかかることがわかったんです。

私の頭のなかには、いつも”できる私”がいるんです。何でもパパッとこなし、すぐになんでも終えることができる、そんな私が。けれど実際には、“できる私”がこなせるはずの倍の時間がかかるんです。だから、理想の”できる私”は捨てて、「自分がゆっくりであること」を受け入れました。そこからは、自分が見積もった倍の時間を確保するようになったんです。

あまの:見積りよりも倍かかる現実を自分で認められると変化につながりますよね。実際にログを取ったからこそわかったことですよね。

せと:そうですね。

あまの時間の使い方を根本的に改善した方は、必ずログを取っているんですよね。とはいえ、時間の使い方を記録しながら生活をするって、結構ストレスフルだと思います。実際にはどんな形でログを取られていたんですか?

せと:私は、リアルタイムで全部を記録したわけではありません。朝からの行動を頭のなかに思い浮かべて、ざっとマインドマップに書き出す感じです。

あまの:なるほど。ログを取る=リアルタイムで記録する、というイメージがありましたが、そういう方法もあるんですね。

予定を詰め込むのは生き急いでいたから

あまの:やりたいことが24時間から溢れてしまうことを改善するために、ほかにやったことはありますか?

せと:自分がなぜこんなにタスクを詰め込みたがるのか、やりたいことを全部一度にやりたがるのか、その理由を自分で深掘りしました。そこでわかったのは、人はそもそも楽しいことや自分の気持ちのいいことをたくさんやりたいものだ、ということです。

さらに突き詰めていくと、いつ死ぬかがわからないから、焦っていろいろやるんだろうな、と思い至りました。ということは、健康寿命を延ばす生活を心掛けて長生きすれば、そんなに焦って今やらなくても大丈夫だ、と思えるようになったんです。やりたいことを「手放す」ということに対しての捉え方が変わりました。

「手放し」は諦めることではない

あまの:「手放す」ことへの捉え方が変わったというのは、どういうことでしょうか?

せと:片づけ方法で「自分のときめくモノを選びましょう」というやり方がありますよね。私は全部がときめくから、全然モノが減らないんです。やりたいことも同じで、「これも好きだし、あれも好きだし、全部やりたいから全然減らない。手放せない。」と思っていました。

けれど、やりたいことを詰め込んでいた理由が自分のなかでクリアになったことで、やりたいことを来年や再来年に先送りする、という選択肢が自分のなかに生まれました。今は手放すけれど、またいつかやればいいと思えるようになったんです。

「手放し」はやりたいことを諦めることではなく一旦先送りすること、と捉え直したことで、やりたいことを詰め込まなくてよくなりました。

やりたいことの期限を意識する

あまの:やりたいことをやる時期を見直してみる、ということですね。

せと:やりたいことを「消費期限」と「賞味期限」で分ける感覚です。よく冷蔵庫でなかの食材を確認しますよね?「あ、これは明日が消費期限だから食べないと!」となると、急いで食べようって思いますよね。「これは賞味期限が1カ月先だから、まだまだ大丈夫だな」と思ったら、もう1回冷蔵庫に入れる、そんなイメージです。

あまの:すごくわかりやすいですね。

まなさんのこのプロセスにすごく意味がある気がします。まずはログを取って、見積り時間より倍の時間がかかることがわかった。そして、やりたいことを詰め込んでしまうことの理由を深掘りにしたことで、健康寿命を延ばすことの重要性を改めて実感した。だからこそ、その健康寿命を長くするために、自分時間や手放すことの優先度が高くなった、ということですよね。

なぜ自分時間や手放しが必要なのか、その理由を自分がしっかりと納得できているからこそなんだ、と改めて感じました。

せと:そうですね。

一日を一生の縮図だと考えてみる

せと:時間の使い方には「死」というものが大きく影響していると私は思っています。

私は4年間で5人の家族を看取りました。祖父母と両親を次から次へと亡くしたんです。そのときに感じたのが、「死に方は生き方だ」ということでした。

107歳のおばあちゃんと、101歳のおじいちゃん、それに93歳のおばあちゃんの葬儀のあとは、生き切った清々しさを感じたんです。

元々、大学でも死生観を学んでいましたが、大切な人たちの看取りを通して、「明日死んでもいいように今日を生きよう」という思いが強くなりました。

自分が死ぬことはなるべく考えたくないし、遠ざけたいことでもあります。けれど、逃げずに「死」について向き合って考えると、すごく「今日」が豊かになります。「自分が生まれてから死ぬまでの一生分を今日一日に凝縮するとしたら、どんな過ごし方をしたいか?」と考えるようになったんです。

あまの:確かに「一生」が凝縮された「今日」だと考えると、「本当にあれもこれもと詰め込んで過ごしたいのかな?」と、立ち止まって考えられますね。

せと:そうなんです。

「今」の積み重ねが「人生」になる

あまの:まなさんの根底には「健康寿命を延ばしたい」という思いが強くあるように感じます。鍼灸師のお仕事にもつながりますよね。その思いとタイムコーディネートの考え方がすごく重なったのでしょうか。

せと:それはありますね。「今」を大切にしようというのは、私が伝えたいことのひとつです。「今」を大切に過ごして、その積み重ねが「人生」になる、と思っているので。

たとえば、セルフケアにしても、「子どもが小学校に入ったらやろうかな」なんて声をよく耳にします。でも、子どもと長く一緒にいる時期にこそ、イライラしない自分、穏やかにニコニコと接することができる自分をセルフケアで手に入れてほしいです。だから、子どもと過ごす時間や仕事の時間と、セルフケアを含めた自分のための時間、そのどちらも諦めないことが大切だと思っています。先送りしていいものと、先送りしてはいけないものを見極める目が必要ですよね。

病気になってわかった自分時間の大切さ

せと:4年間で5人を看取ったあと、私は子宮頸がんになったんです。大きな手術もしました。そのときの自分は、すごく頑張っていて無理をしていたんですよね。人のために過ごすことが多かったので、セルフケアの時間や自分の人生を考える時間が足りなかったことに気がつきました。

そのときの経験が「よしよしわたし倶楽部®」という今、私がやっている講座につながっています。

だから、自分の反省も含めて、今30代40代のお母さんたちがどんなに忙しくても、自分の時間を5分でも持ってほしいと願っています。ちょっと横になることに罪悪感を持たなくていいし、それが子どもたちへのいい接し方に繋がるのであれば、絶対に無駄な時間じゃないから。

子どもと過ごす時間って、大変なことも多いけれど、その時間が思い出になって、本当に宝ものになります。たくさんの宝ものができるように、セルフケアを大切にしてほしいです。

子育ても仕事も自分時間も・・・そうやって欲張りに過ごしたい人にタイムコーディネート手帳はオススメなので、ぜひ活用してほしいです。

あまの:鍼灸師であり、マインドマップインストラクターであり、マスタータイムコーディネーターまなさんのすべてが詰まっているのが「よしよしわたし倶楽部®」なんですね。興味を持った方はまなさんのInstagramをチェックすればいいですか?

せと:はい。Instagramのプロフィール欄からご登録いただけるメルマガにて「よしよしわたし倶楽部®」のご案内をしています。

メルマガでは、「よしよしわたし倶楽部®」のご案内だけではなく、思考と時間、身体をととのえるヒントについてもお届けしています。少しでも気になるな、という方はぜひご登録いただけるとうれしいです。

せとまなさん Instagram
https://www.instagram.com/yoshiyoshi_watashi/

あまの:今日は貴重なお話を本当にありがとうございました。

せと:ありがとうございました!

インタビュアー:あまの ゆうこ(TCプロジェクトーチーム)
編集:長谷部 敦子

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次