教室運営や子育てに忙しい日々でも趣味の時間をしっかりと確保している石渡眞穂さん。自分時間の確保が子どもとの時間にも良い影響をもたらしているそう。ワークシートはあまり活用できていないという石渡さんが、一体どのように自分時間を確保できるようになったのか、手帳の使い方について伺いました。
※本記事は2024年8月1日にお送りしたInstagramライブ配信「私の時間と手帳の付き合い方」でのインタビュー内容を再編集したものです。
石渡眞穂さま
かんたんおやつインストラクター
神奈川県茅ヶ崎市在住。9歳・4歳の兄弟の母。
12年間、幼稚園教諭・保育士として勤めた後、長男の妊娠・出産を機に退職。
産後うつを経験し、自分と同じように子育てに不安を感じるママの居場所を作りたいと2017年にパン教室をオープン。試行錯誤しながら、2ヶ月先まで予約の埋まる教室へと成長させる。
その後、コロナ禍の影響で対面での教室運営が難しくなり、オンラインでのレッスンを開始。現在は、かんたんおやつとパンの教室「kokotto」の運営だけではなく、自宅で教室を開きたい女性のサポートへと活躍の場を広げている。

24時間を可視化すれば、時間の使い方が見えてくる
吉武麻子(以下、吉武):タイムコーディネート手帳を使い始めたきっかけを教えてください。
石渡眞穂さん(以下、石渡):第二子が生まれて3カ月後の2021年3月に料理教室の開業届を出しました。開業前にも料理教室は開いていて、口コミで生徒さんは来てくださっていたんです。ただ、コロナ禍の影響で、今までのやり方では集客がうまくいかなくなってしまい、起業塾に入ってオンラインでの集客方法を学び始めていました。
当時、上の子もまだ幼稚園の年長さんでした。子どもたちのお世話はあるし、せっかく開業届を出したのだから仕事の成果も出したい。起業塾で教えてもらったオンライン集客のために、ブログもInstagramも発信しないといけない……。やるべきことが多すぎて、時間が全然足りない! そう思っていたときに、タイムコーディネート手帳が発売されることを知り、即購入しました。
吉武:タイムコーディネート手帳を使うことで、時間の整理はスムーズにできるようになりましたか?
石渡:1年目はただマンスリーでスケジュールを把握していただけでした。けれど、麻子さんの著書も読ませてもらって、2年目からはウィークリーページを中心に使うようになりました。24時間で自分が使える時間がどれだけあるのかを目で見て把握できるし、自分がやるべきタスクも見積り時間とともに書き込めます。
空いている時間とタスクにかかる時間が明確になると、迷いがなくなります。「30分あるからこれをやろう!」と即行動できるようになったのは、タイムコーディネート手帳のおかげです。

吉武:ウィークリーページの活用でスムーズに時間の整理ができるようになったのですね。
石渡:子どもたちの登園・登校後に仕事をスタートさせます。そして、幼稚園のお迎えの時間には、仕事を終えることになります。自分が集中して仕事ができる時間が決まっていることをウィークリーページのおかげで自然と意識するようになりました。
子どもの帰宅後も仕事をしようと思えばできますが、集中できないので効率的ではありません。それなら、子どもの帰宅後は子どもと一緒に過ごす時間だと割り切った方がいいと思うようになりました。とはいえ、仕事も進めたいので、子どもと過ごしながらでも無理なくできることは何かを考えてみたんです。私にとっては「試作」でした。教室でつくるお菓子やパンの試作は、子どもと一緒に過ごしながらできることなので、子どもの帰宅後は家事や試作の時間に充てるようにしています。
幼稚園の送迎や子どもの習い事などをウィークリーページに書き出すと、自分が集中して仕事ができる時間とできない時間が一目瞭然になります。自分の時間を分けて考えるようになったことで、無理のない時間の使い方ができるようになったのかもしれません。
指標があると心地よく前に進める
吉武:タイムコーディネート手帳には「5つの「私」役割シート」「VISION逆算シート」「3カ月プロジェクトシート」と3つのワークシートがありますが、眞穂さんは活用されていますか?
石渡:実はそこまで活用できていません。とはいえ、「5つの「私」役割シート」は自分を見直すきっかけになりました。男性も同じだとは思いますが、特に女性は1つの役割に偏った時間の使い方はできないですよね。
私は「仕事をする私」「母としての私」「家事をする私」「家を整える私」「個人としての私」と役割を書き出しています。さらに私は睡眠時間をしっかり確保しないと、日中に活動の質が明らかに落ちるんです。なので、睡眠時間も大事にしたいし、ゲームや漫画、楽器演奏など趣味がたくさんあるので、趣味を楽しむ時間も大事にしたいと思っています。
明確に書き出せてはいなくても、ワークシートをきっかけに自分の大事にしたい時間をより意識するようになりました。指標ができたことで、そこに向かって進んでいけばいいという安心感があります。指標がないときには、タスクを詰め込みすぎていたけれど、今は優先順位がはっきりしているので、「これ以上はやめておこう」と思えるようになりました。
吉武:自分にとっての心地よさがわかっている人は、ワークシートに書き込まなくても自然と心地よい時間の使い方ができるんですよね。私も今はそこまでしっかりと書き込むことはしていません。
環境に変化があったときや、改善したいことができたときに集中して活用するのもいいと思います。
「今」を大事にする心地よい時間の使い方
吉武:先ほど「5つの「私」役割シート」で「家事をする私」「家を整える私」と分けていましたが、2つの違いはなんですか?
石渡:「家事をする私」は食事の準備などの生活するうえで必要なタスクを実行する私です。「家を整える私」は庭の草木に水やりをしたり、レモンや枇杷の熟れ具合を確認したり、暮らしを楽しむイメージですね。
吉武:暮らしや趣味を楽しんで、心地よい時間を過ごすことがとてもお上手ですよね。自分にとって大切な時間があったとしても、家族のために自分の時間を犠牲にしてしまう方も少なくありません。ご自分の時間をいいバランスで取り入れることは、以前からできていたんですか?
石渡:私にとって演奏している時間は家のことも仕事のことも忘れてリフレッシュできる時間なんです。大事な時間だからこそ、自分が使っている楽器が演奏できる場所を探して、自分で心地よい時間が過ごせる状況を作ってきたように思います。
吉武:意志を持って環境を整えてきたんですね。ご夫婦でそれぞれの自分時間をどう確保するかについて話し合って決めたんですか?
石渡:夫は、平日は仕事で家にほとんどいません。子どもが寝てから帰ってくるような生活なので、私は自分が仕事を始めるときに外で働く選択肢はないと思い、その条件のなかでできることを考えました。平日は夫が遅くまで仕事をしていても、飲みに行っていても、干渉せず、何も言いません。平日にある小学校や幼稚園の行事もすべて私が担当しています。
その代わり、週末は夫に子どもたちのことをお願いして、私が自分の時間を取るようにしていますね。
吉武:ご夫婦の間で干渉するところ・しないところを線引きして、それぞれの条件の中で心地よい時間が過ごせるように工夫されているんですね。
ご家庭によって環境や状況が違うから、他のご家庭でうまくいっている方法がそのまま使えることは少ないかもしれません。けれど、与えられた条件のなかで、どうやって心地よい時間を家族みんなが過ごせるかを考えられるといいですよね。
石渡:子どもと一緒に過ごせる時間は本当に今だけだと思っています。だから、今のこの時間をすごく大切にしたいんです。
俯瞰して自分の時間を見られるようになったから、事業規模をさらに大きくするのは子どもがもう少し大きくなってからでいいと思えるようにもなりました。そうすると、子どもにも穏やかな気持ちで接することができるんです。
とはいえ、今の自分も今だけだから、自分の時間も大切にしたい。タイムコーディネート手帳で今の自分にとってのベストバランスを確認しながら、これからも心地よい時間を増やしていきたいですね。
▼おうちで気軽につくれるパンやおやつに興味のある方は、ぜひInstagramをチェックしてくださいね。
https://www.instagram.com/maho.kokotto331
インタビュアー:吉武 麻子
編集:はせべ あつこ