助産師として働きながら、家事に、育児に、と時間に追われる毎日を過ごしてた河本さん。タイムコーディネート手帳を手にしたことで、自分のことを考える時間を持つようになったそうです。自分を犠牲にしない時間の使い方ができるようになったという河本さんにタイムコーディネート手帳を使い始めてからの変化について伺いました。
河本 遥 さん
助産師
助産師として病院・クリニックに約12年勤務。
2024年に出張専門の助産院開業。
自身の経験から、「自分を大切にできる女性を増やす」をモットーに、現在は地域の新生児訪問やベビーマッサージなどのイベントも行っている。
京都府在住。1児の母。
▼Instagram
https://www.instagram.com/lala_harucan

時間に追われるのは当たり前だと思っていた
――タイムコーディネート手帳に出会ったきっかけを教えてください。
河本遥さま(以下、河本):現在は開業助産師として働いていますが、以前は病院勤務の助産師でした。2歳の娘を出産したときには、子育てとの両立が大変になることを見越して、働き方をパートに変えて助産師に復職したのですが、それでも想像していた以上に大変な毎日でした。
朝は4時起きで、帰宅後にすぐに食事ができるように晩ごはんの準備をして、保育園には一番乗り。クタクタになるまで働いて、急いでお迎えに行くものの、いつもお迎えは最後でした。
家事と育児と仕事に追われる生活に疲れ果て、いつも「時間がない」が口癖だった私に、知人が吉武麻子さんの著書『目標や夢が達成できる 1年・1カ月・1週間・1日の時間術』を勧めてくれたんです。
――フリーランスになったのも、「時間がない」ことが理由だったのでしょうか?
河本:育休後に復職してからは、タスクをなんとかこなす毎日で、家族とゆっくり過ごす時間や自分時間なんてもちろんありませんでした。
子どもが病気をもらってくることも多く、私も常に体調不良で、どんどんメンタルも落ち込んでいきました。とにかく物理的に時間を確保しなくては! と、働き方を変えることを決めました。
――当時のスケジュール管理はどうされていたのですか?
河本:スケジュール管理なんて考えられず、頭に浮かんできたタスクをとにかく次から次にこなす状態でした。
仕事もしているし、子どももいるし、時間に追われることが当たり前だと思っていたので、それをどうにかしようとまでは考えが至っていなかったのかもしれません。
元々、予定を詰め込むタイプで、「何もしない時間は無駄だ」と感じているところがありました。子どもが生まれてからはさらに「家族のためにちゃんとしなくちゃ!」と完璧主義に拍車がかかり、パズルのように予定でスケジュールをぎっちり埋めるようになっていたように思います。
麻子さんの本を読んで、時間に追われるのではなく、自分で時間をコントロールできることを知り、「私もこの状況をなんとかしたい!」とタイムコーディネート手帳を予約しました。

立ち止まって考える時間が持てるようになった
――タイムコーディネート手帳を使うようになって、どんな変化がありましたか?
河本:すぐには手帳を使いこなすことはできませんでしたが、4回あった手帳購入者限定のワークショップにすべて参加し、少しずつ自分の時間の使い方を整理できたように思います。
今も試行錯誤の途中ですし、手帳が書けない時もあります。けれど、手帳が書けないときには「予定を詰め込みすぎたんだな」と振り返りができるようになったのも、成長だと感じています。
――振り返りの効果を実感されているのですね。
河本:時間の使い方や自分自身について、じっくりと考える時間を持てるようになったのが、タイムコーディネート手帳を使うようになってからの一番の変化かもしれません。
土日は家族との時間を大切にしたいので、手帳はほとんど見ません。なので、金曜日の仕事終わりに1週間を振り返る時間を持つのが私にとっては理想です。けれど、全然思うようにできない時もあるし、こだわり過ぎず、できる時に振り返りをするようにしています。
――振り返りで具体的にチェックしているポイントはありますか?
河本:今の私にとって、1日に仕事の予定は1つがベストバランスだと思っています。とはいえ、予定を詰め込んでしまうこともあるので、どうして詰め込むことになったのか、その原因を確認するようにしています。仕事を受け過ぎたからなのか、仕事にかかる時間の見積もりが甘かったからなのかを振り返りではチェックします。
ベビーマッサージやお話会といったイベントの仕事はご依頼くださる方の都合もあるので、スケジュールが流動的です。結果的に、詰め込みの原因になってしまうことが多いと感じています。けれど、お話をいただけることが嬉しいし、今は頑張りたい時期でもあるので、お断りすることは極力避けたいとも思っています。
タイムコーディネート手帳1年目で、自分のベストバランスを知り、予定を詰め込みすぎる原因が何かを把握するところまではできたので、今後は改善方法をトライ&エラーで見つけていきたいです。
イライラの原因だった自己犠牲を手放す
――タイムコーディネート手帳でお気に入りのページはありますか?
河本:「5つの「私」役割シート」です。自分のことを今まで分けて考える発想がありませんでした。けれど、“役割”で分けることで、自分を俯瞰して見ることができたんです。自分にとって理想の時間の使い方ができていないことはわかっていたけれど、どんな時間があると自分は満たされるのかがより具体的になりました。

以前は、自分時間が大事なことは頭ではわかってはいたものの、やるべきことができていないのに自分のリフレッシュ時間を取る、ということができずにいました。けれど、ワークショップで麻子さんが「他の役割を元気にこなすためにも自分のリフレッシュ時間は必要」とおっしゃっていて、自分時間の大切さをより実感できたんです。毎週はなかなか難しいですが、意識的に“何も予定を入れない日”をつくり、自分時間を取れるようになってきています。
これまで、自分がどうしてイライラしているのか、どうして「自分ばっかり」と思うのか、理由がわかりませんでした。疑問に思う余裕すらなかったのかもしれません。けれど、タイムコーディネート手帳を使い始めて、「人のために」と思って自分を犠牲にした時間の使い方をしていたことが原因だとわかりました。今は、もっと自分を大切にしていいんだと思いながら日々を過ごせています。
人の話を聞くことで自分を深く理解する
――手帳をうまく活用できないと悩む方にメッセージをお願いします。
河本:一人で手帳を書き続けるのはなかなか難しいと思います。私もこれまでいろいろな手帳を使ってきましたが、続きませんでした。
手帳が続かない=ダメではないけれど、時間の使い方を振り返ることなくして、時間の使い方を改善することは難しいと思います。そして、振り返りにはやはり手帳が便利です。
タイムコーディネート手帳にはワークショップやキャッチアップ会といったモチベーションが続く仕組みがあります。
ワークショップでは、最初に講義形式で麻子さんから手帳の使い方についてお話が聞けるので、基本の使い方を知ることができます。基本の型を知っているからこそ、自分なりの応用もしやすくなります。他のユーザーのみなさんと少人数でお話をする機会もあるので、使い方を参考にさせてもらうことも多いです。
フリーランスになったばかりだったこともあり、「VISION逆算シート」には、つい仕事の大きな目標を書きたくなっていました。けれど、みなさんの大切にしている時間について伺うことで、私は家族との時間を大切にしたくて今の働き方を選んだこと、助産師として目の前のママさん一人ひとりと丁寧に向き合いたいと思っていること、自分が何を大切にしたいと思っているのかを再確認できました。
――同じ手帳を使っている人と話せる機会ってなかなかないですよね。
河本:ワークショップやキャッチアップ会には、2年目、3年目とタイムコーディネート手帳を使い続けている方も多く参加されています。「1年目は予定ばかり詰め込んで、うまく時間を使えない自分を責めていたんです」なんて当時のお話を聞かせてもらうと、「今の私みたい!」と思うこともありました。タイムコーディネート手帳を使い続けた先を見せてもらえるので、勇気付けられます。
自分が話すことももちろん大事ですが、人の話を聞くことで自分を俯瞰でき、またさらに自分を深く理解できます。ぜひこの感覚を味わってほしいです。
聞き手・編集:はせべ あつこ