以前はなんでも自分でやろうとして、こなしきれないタスクを常に抱えていたという適食アドバイザーのあこさん。タイムコーディネート手帳を使い始めて、人にお願いできるようになり、タスクを手放せるようになったそう。自分の得意分野に集中でき、この1年で2冊の著書を書き上げたというあこさんに、手帳の使い方・タスクの手放し方について伺いました。
※本記事は2025年9月3日にお送りしたInstagramライブ配信「私の時間と手帳の付き合い方」でのインタビュー内容を再編集したものです。
あこ さま
適食アドバイザー
新卒で総合病院に管理栄養士として勤務し、栄養指導にあたる。その後、マクロビオティックに出合い、料理番組作成、雑誌撮影、企業講演、メニュー開発、料理教室などに携わる。
産後の不調がきっかけで分子栄養学を学び、「基礎栄養学」×「分子栄養学」×「臨床栄養学」×「マクロビオティック」をかけ合わせた食事法で、女性向けの栄養アドバイスを開始。
現在は「実践栄養アカデミー」を主宰し、YouTubeチャンネル「あこの栄養学」はチャンネル登録者26.2万人超(2025年10月時点)。近著には『子どものしあわせ栄養学』がある。
▼Instagram
https://www.instagram.com/info.ayako160

予定通りにタスクを終えられる心地よさ
吉武麻子(以下、吉武):タイムコーディネート手帳を使いはじめて、変化はありましたか。
あこさん(以下、あこ):自分がやると決めたタスクをちゃんと実行できるようになりました。先週のウィークリーページの振り返り欄にも「すべて予定通り」と書いてあります。
手帳を使い始めたときには、タスクにかかる見積もり時間と実際にかかる時間に大きな誤差がありました。だいたい見積り時間の2倍はかかっていたと思います。
1週間で到底こなせない量のタスクをやろうとしていたので、手帳にはバツ印ばかりでした。
吉武:そこからどうやって予定通りにタスクを終えられるようになったんですか。
あこ:タスクを細分化し、タスクにかかる見積りの甘さを修正していきました。修正しながら手帳を使い続けることで、自分にとって最適な1日のタスク量を把握できるようになりました。

苦手を手放したら、すべての仕事の質があがった
吉武:手放したタスクはありますか。
あこ:はい、人にお願いするようになりましたね。この1年間で自分がやらなくてもいい、というよりも、むしろ自分以外の人にお願いした方がいいと思える仕事がたくさん見つかりました。
資料作成もそのうちのひとつです。私は文章で一気にアウトプットすることは得意ですが、それを理解しやすく見た目を整えて資料にすることは苦手です。今は資料作成が得意なスタッフにお願いしています。
昨日も思いついたことを一気にGoogleドキュメントに私がまとめて、同時進行でスタッフに資料を作成してもらい、1日で資料が完成しました。
苦手なことを手放せるようになり、すべての仕事の質が上がりました。自分は得意なところに専念できるから質があがるし、苦手なところは得意な人に任せられるから質があがる。苦手なことは人に任せた方がいいんだと、この1年で実感できました。
自分の能力を冷静に見極める
吉武:人に任せるのは最初面倒に感じませんでしたか。
あこ:手放すにはやっぱり準備が必要なんですよね。準備にリソースを割くことに勇気も必要だし、実際にかなりの時間がかかります。けれど、今の手間を避けることよりも1年後、2年後にラクになることの方が大事だと感じました。
吉武:手放すことを難しく感じる方が多くいらっしゃいます。何か手放すコツはないですか。
あこ:私の場合は、自分にはそんなに能力がないと認識したことがきっかけになりました。
「みんながやっているのだから、これくらいできて当たり前」と自分に対して厳しくなってしまうことは誰しもあると思います。けれど、冷静に周りを見てみると、「みんながやっている」と思っていることが、実はAさんはBさんがやっていることはやっていないし、BさんもAさんがやっていることはやっていないんです。それぞれがそれぞれの得意なことをやって結果を出しているのに、私はAさんがやっていることもBさんがやっていることも自分一人で結果を出さなくちゃいけないと思っていたことに気がつきました。
すべてを自分一人でやる必要はないし、そんな能力は私にはありません。自分の能力を冷静に評価できるようになって、タスクを手放せるようになりました。
吉武:みなさん、自分に対しての期待値が実は意外と高いんですよね。頑張ればできる、とつい思ってしまいます。けれど、人は基本的に怠け者だから、怠け者の自分が無理をしなくてもできるタスクの種類や量を見極める必要があるんです。卑下する必要はもちろんないけれど、自分が対応できるタスクを現実に即して把握することが大切です。
行動しようとする力そのものはみなさん持っています。行動力と自分にとってちょうどいい質と量のタスクがうまく掛け合わさると、やりたいことがスムーズに進むんです。
あこ:確かにスムーズに行動できることと、そうでないことがありますよね。自分がスムーズに行動できることだけに集中して、できないことがある自分を受け入れられるように少しずつなってきているように思います。
もっともっといろんな人にその人が得意な仕事をお願いできるように、準備を面倒がらず、タスクの手放しには今後も取り組んでいきたいですね。
1年ではなく、3カ月だから行動できる
吉武:タイムコーディネート手帳で特に活用しているページはありますか。
あこ:一番活用しているのはウィークリーページの見積りと結果の欄ですが、大事なのは「3カ月プロジェクトシート」と「VISION逆算シート」だと感じています。ここで自分の理想をしっかりと可視化しておかないと、日々の時間の使い方は変わらないと実感しました。
吉武:行動力のある人は行動してどんどん開拓していくことができるし、目の前のことにがむしゃらになる時期も必要です。とはいえ、ただ行動し続ければいいわけではなく、一定のところまできたら、自分の取り組みを整理する必要があります。その際に基準となるのがビジョンなんです。未来の自分が喜ぶ選択を「今」できているかどうか。あこさんはまさにその部分に気づかれたということですね。
あこ:今年のタイムコーディネート手帳を使い始めてから、本を2冊出しました。とても忙しかったけれど、タスクに翻弄された感覚はなく、この1年は本当に充実していました。妥協することなく、本づくりに向き合えたのは、タイムコーディネート手帳のおかげです。
タイムコーディネート手帳を使う前には、年始にWishリストを作っていました。けれど、実現できないことがたくさんあったんです。1年という期間が行動に落とし込むには長すぎたことが原因だと今は思っています。
年間目標だと、「今月は忙しいから来月でいいや」とつい後回しにしがちです。「3カ月プロジェクトシート」を使うことで、やりたいことを実現するための具体的な行動プランを立てられるようになりました。
吉武:1年後のために、「今」必要な行動を棚卸するのは難しいですよね。「3カ月プロジェクトシート」を使うことで、日々の忙しさに流されずに、自分にとって大事なことを忘れずに行動できるようになります。

あこ:タイムコーディネート手帳を使ったことで、9月までに今年やりたかったことの8割は終わりました。しかも、タスクを手放せるようになったおかげで、9月にやろうと思っていたことを4月に前倒しすることができました。
自分の頭の中だけで考えるのではなく、手帳に書き出し、行動してきたからこそだと思います。
この1年間、多くのタスクを手放し、やりたいことを実現してきました。来年もきっとさらに時間の使い方をよりよく変えていけるだろうな、と思っています。
▼タイムコーディネートを実践して書き上げた書籍はこちら
『おいしく食べて、体ととのう まいにちの栄養学』(ナツメ社)
https://www.natsume.co.jp/np/isbn/9784816376498
『子どものしあわせ栄養学」(主婦の友社)
https://books.shufunotomo.co.jp/book/b10136972.html
インタビュアー:吉武 麻子
編集:はせべ あつこ