タイムコーディネート手帳で人を頼れるようになった vol.47

完璧主義で人を頼ることができなかったというゆりえもんさん。タイムコーディネートの考え方を実践し、タスクや思い込みを手放したり、理想に向けて行動計画を立てたりできるようになったことで、事業運営にも良い影響があったそうです。そんなゆりえもんさんにタイムコーディネート手帳の使い方を伺いました。

※本記事は2023年7月26日にお送りしたInstagramライブ配信「わたしの時間と手帳のつきあい方」でのインタビュー内容を再編集したものです。

ゆりえもん さん

オンライン秘書の先生

株式会社トロピコ代表取締役。静岡県出身。

リーマンショックによる内定切りにあうも、心から尊敬できる社長と出会い、少数精鋭のベンチャー企業へ入社。その後、執行役員に任命され、新規事業の企画を任されるようになる。同時に、肩書きに頼らず自力で稼いで生きるため、オンライン秘書サービスを副業からスタートし、2019年に起業。

現在は、オンライン秘書サービスの会社を経営しながら、200名以上が参加するオンライン秘書育成コミュニティ「おうち秘書サロン」の運営を行っている。

▼オンライン秘書サービス「トロピコ」
https://tolopico.com/

目次

人に任せることができなかった会社員時代

吉武 麻子(以下、吉武):ゆりえもんさんが時間で悩んでいた時期のお話を聞かせていただけますか?

ゆりえもんさん(以下、ゆりえもん):私はベンチャー企業でバックオフィスを担当していました。会社員時代は、本業の仕事をやりながら、独立を視野に入れていたので、副業も色々とやっていたんです。平日も土日も、朝も夜もずっと仕事をしながら、常に時間に追われていました。

人に任せるのもすごく下手だったんです。完璧主義の人に多いと思うんですが、私も「自分がやった方が早い」と、後輩や部下になかなか仕事をお願いすることができませんでした。結局、いつも自分で残業をして対応している状態だったんです。

そんな時に麻子さんに出逢って、タイムコーディネートという概念を知り、「これぞまさに私が必要としているものだ!」と思いました。それ以降、ずっと麻子さんにはお世話になっています。

吉武:そうなんですよね。後輩を育成できていないと独立もできないから、「どんどん人に任せていきましょう」「残業している場合じゃないですよ」といったお話をしながら、タイムコーディネートを実践してもらいました。

ゆりえもんさんは本当に素直に実践してくださって、どんどん時間を生み出して、副業や独立の準備を進められて、今はオンライン秘書の先生として活躍されています。

計画的に未来のやりたいことを進められるようになった

吉武:2022年にタイムコーディネート手帳ができてからは、手帳も使ってくださっていますが、ゆりえもんさんが特に活用しているページはありますか?

ゆりえもん:私は毎日毎日手帳をすごく使い込んでいるわけではなく、ピンポイントで使わせていただいています。そのなかで、『3ヵ月プロジェクトシート』を一番活用しています。

手帳を使うようになって、何が一番大きく変化したかというと、未来のやりたいことをあらかじめ計画して進められるようになったことです。「○○のプロジェクトをやりたい」「○○をリリースしたい」というやりたいことを先に決めて、そこから逆算するようになりました。実現するためには、何ヵ月前には準備をしないといけないから、何月までにはここまでできていないといけない、といったように都度計画を立てて進めていくのに、『3ヵ月プロジェクトシート』をすごく活用させてもらっています。

やりたいことを実現するために活用しているという『3ヵ月プロジェクトシート』

吉武:そうなんですよね。中長期で時間を見ることは、一般的な手帳やデジタルではできません。そこをこの『3ヵ月プロジェクトシート』はカバーしています。見開き1枚で3ヵ月を見渡して、計画を立てられるというのは他の手帳にはないので、特にプロジェクトを抱えている方は活用してくださっています。

ゆりえもんさんが運営されている『おうち秘書サロン』の秘書のみなさんは、ゆりえもんさんのことをタスク処理が早い方だと思われているのではないかと想像します。実は、タスク処理が早く感じる理由は、未来にやるべきことを先取りしていることにあると思っています。

ゆりえもん:そうですね。常に未来のことを考えて、中長期の計画を立てて、具体的なタスクに落とし込むようにしていますね。

吉武:だから、今、目の前にあるタスクを素早く処理しているというよりは、未来のことを先取りしているから必要なときには処理ができている、という感じなんですよね。

特にサポート業務をされている方は「○○さんに連絡」といった細かいタスクがたくさんあると思います。その一つ一つのタスクはもちろん大事だけれど、それだけに追われていると、未来のことに目を向けることができないので注意が必要ですよね。

ゆりえもん:そうですね。まさに私もタイムコーディネートを実践する前は日々のやるべきことに追われていました。麻子さんに出逢ってから、考え方として一番変わったのは、「常に未来のことをやる」という点です。

起業して、自分の会社を作ってからは、事業を中長期で考える必要がでてきました。半年後にはどうなっていたいのかを考えた上で、3ヵ月単位で何をやるのかを常に逆算して考えるようになりました。

今は、未来のことしか考えていない、と言ってもいいかもしれません。

吉武:わかります!私もそうです。

ゆりえもん:多分、周りの人と、見ている時間軸、生きている時間軸が違うんだと思います。常に未来に向けてあれこれ考えているので、頭のなかには「まだできていないこと」がたくさんあります。けれど、周りの人からは「ゆりえもんさん、たくさんやってますよね」と言われるので、ギャップを感じる時はありますね。

急なタスクはバッファで対応

吉武:バックオフィスをサポートしている方はお客様のタスクでいっぱいになってしまいがちだと思います。オンライン秘書のみなさんにもそういう方は多いですか?

ゆりえもん:そうですね。特に経営者さんをサポートする立場だと、急なタスクや想定外の出来事も起こりやすいです。その対応にアタフタしてしまう方は多いかもしれません。

私は麻子さんから、「週間予定を立てましょう」「急な予定が入ってきても対応できるように余白を作っておきましょう」とずっと教わってきました。なので、それは自分のオンライン秘書の生徒さんにもお伝えするようにしています。徐々に時間を上手く使えるようになってきた、という声を聞けるようになっています。

吉武:素晴らしいですね。やっぱり急な案件対応は、サポート業をしている方にとっては悩ましい問題だと思います。解決策としては、一週間単位でタスクを考えることがひとつ。あとは、バッファ、つまり余白の時間を一日の終わりや決まった曜日に確保しておくことですね。

タスクは分けると優先順位が見えてくる

吉武:タスクには「目の前のやるべきこと」と「自分の未来のためにやるべきこと」の2種類があります。この2つを分けて管理することも大事です。タイムコーディネート手帳のWeeklyには、タスクを書き出せる欄があります。ここは未来のタスク・重要なタスクを書くようにして、日々発生する目の前のやるべきことは寝ている時間帯の空欄に書き出すようにするといいですよね。

バーチカルの寝ている時間帯は「その日のやるべきこと」を書き出す欄にしても

ゆりえもん:そうですね。私も2つは分けて考えています。

吉武:「目の前のやるべきこと」を書き出して、タスクが終わる度にチェックをしていくと確かに小さな達成感は味わえます。けれど、それだけでは自分の未来のための重要なタスクは進まないんです。数分でできるようなタスクはアプリを活用してもいいと思います。忘れないためにアラームをセットしておくこともできるし、記録を残す必要のないタスクはそういった処理の仕方も試してみてください。

細かいタスクに一つ一つに優先順位を付ける必要はありません。これをやらないと自分は次のステージに進めない、そんなタスクは何なのかを把握しておく。そして、そのタスクは優先度高く取り組むことを意識しておく必要があります。目の前のタスクで自分の時間を埋め尽くしてしまうのは、とてももったいない時間の使い方ですよね。

経営者マインドが生き方を自分で選ぶベースになる

ゆりえもん:会社を伸ばしていかないといけないという重大な任務があるし、それをできるのはトップである私だけなので、未来のためにやるべきことは常に考えています。

吉武:ゆりえもんさんは経営者だからもちろんですが、個人で仕事をしている方にもこの意識は必要ですよね。すべてを自分で決めて、自分で動かないといけないから。そう考えると、会社員の方も今は会社に属しているから安心できる時代ではないので、いつでも自分の生き方を選べるように、経営者マインドを持っているといいですよね。

ゆりえもん:本当にそう思います。経営者マインド、オーナーマインドを持って行動するのは、個人事業主でも、会社員でもすごく大事だと思います。私も独立前からそういうマインドを身につけていったから、自分の選択で、自分の人生を切り開けるようになったと実感しています。だから、周りの方にも経営者マインドを持って行動してもらいたいといつも思っています。

悪いのは自分ではなく、計画の立て方

吉武:ゆりえもんさんがタイムコーディネート手帳を使ってくださっている影響で、オンライン秘書サロンの方も使ってくださっている方がたくさんいらっしゃいます。サロンの方から聞く悩みごとはありますか?

ゆりえもん:そうですね、私も未だにそうなんですが、一週間の計画を立てても100%計画通りにいくことはありません。どうしても理想のスケジュールを組んでしまうので、「タスクを5つ終わらせたかったのに、3つしか終わらなかったな」ということがあるんです。そして、翌日に回したタスクが完了せずに、また次の日に回すことも。そういったときに、以前であれば結構落ち込んで、「またできなかった」「計画通りに進められなかった」と自分を責めていました。最近は、自分を責めるのはやめて、気持ちを切り替えて、「来週のスケジュールを組み替えて、今週進められなかった分に取り組もう!」と思うようにしています。

吉武:そうなんですよね。頑張り屋さんが多いので、みなさん、とにかくタスクをたくさん入れがちです。理想論でスケジュールを立ててしまうんですよね。自分でも現実的ではなかったと思えて、修正できるならいいんです。だけど、計画通りにできなかったことで自己否定するのは絶対にやめてほしい。

計画通りに進めなかったのは、計画の立て方やその時のコンディション、かかる時間の見積りの甘さなどに原因があることをしっかり認識することが大切です。自分自身が悪いからではなく、うまくいかなかった原因が他にあるんです。

できたことにフォーカスする

吉武:理想の計画を立ててしまうのは、人の習性というか、仕方がないところもあります。それに、理想の計画を立てたからこそ、進んだこともあるはずなんです。だから、できていることにフォーカスすることも大切です。

ゆりえもん:そうですね。できたことにフォーカスすることはすごく大事ですよね。多分、ほとんどの人はできなかったことにフォーカスしてしまいますよね。その結果、自己嫌悪のループにはまる。私自身はここも麻子さんと出会ってから変わったところです。できたこと、できた自分を褒めるようになりました。

吉武:自分のことを褒めない方は本当に多いですよね。やったこと、できたことをしっかりと認めて、自分を褒めることを意識的にしていただきたいです。それがあるから、次に進む意欲も湧くし、客観的に改善すべき点も見つけられるようになるんです。

「人に頼れない自分」を少しずつ手放す

吉武:今は随分と「手放し」ができているゆりえもんさんですが、ここまでできるようになったのは何かきっかけがあったんですか?

ゆりえもん:元々はすべてを自分でやってしまおうとするタイプでした。そこから、まずは自分でなくてもできることを書き出して、小さなことから人にお願いするようになりました。ひとつずつ手放していくと、「案外、自分がやらなくても何とかなるんだ」ということを実感できたんです。そこからは、2つ、3つとお願いすることを増やしていきました。

段々とお願いするのがうまくなってきたな、と自分でも思います。最近では、なるべく自分一人でやらないことを意識して、とにかく人を巻き込むようにしているんです。

吉武:大事ですよね。

ゆりえもん:例えば中長期のプロジェクトをやるときにも、「何ヵ月後にこういうのをやりたいから手伝って」ということをあらかじめ考えた時点でお願いするようにしています。

吉武:いいですね。完璧主義の方であったり、完璧主義の自覚はないものの高いクオリティを自分に課していたりする方は多いです。それ自体は本当に素晴らしいことだけれど、そのことで自分の首を絞めるのはすごくもったいないですよね。

「手放し」ができるようになるには、訓練しかないんです。意識して、実践するしかありません。ゆりえもんさんは本当に手放すことが苦手だったので、最初の手放しは「家族に麦茶をつくることをお願いした」だったんですよね。

ゆりえもん:はい。本当に小さいことから、でした。

吉武:ゆりえもんさんも小さなことから手放しはじめて、さらに段々と大きなことも周りの人にお願いするようになったんですよね。それはお相手の成長の機会にもなります。リーダー層や経営者の方たちは人を育てることも大事な仕事ですよね。その意味でも手放すことは大事にしていただきたいです。

ゆりえもん:それはすごく実感しています。私が手放して、積極的に周りにお願いするようになってからの方が、関わってくださる方たちの成長スピードは速くなったと感じています。

吉武:手放すというのは、人に任せるのもひとつだし、惰性でやっていたものは捨てることも大事です。あとは、常に100%のアウトプットを目指していたものを、少し緩めて30%で他の方にフォローをお願いする、といったこともできます。手放し方にもいろいろな方法があるんです。

0か100かではなくグラデーションで考える

ゆりえもん:「緩める」という考え方はそれまで私にはなかったので、100%手放さなくても、0にしなくてもいいというのは、目から鱗でした。

吉武:そうなんです。グラデーションで考えればいいんですよね。みなさん、やっぱり真面目なので、0か100で考えてしまいがちです。けれど、その必要はなくて、50ぐらいでもOKなわけです。そうやって50だけでも手放すことで時間は生まれます。そして何より、思い込みや世間体、今まで自分が握りしめていた価値観を手放せると、さらに時間が生まれるんです。ぜひお伝えしたポイントを取り入れていただきたいですね。

最後にメッセージをお願いいたします。

ゆりえもん:私は完璧主義者で手放すことが本当に苦手でした。けれど、周りの方にお願いするようになってから、自分と向き合う時間や未来のことを考える時間を持てるようになりました。なかなか手放すことは難しく感じる方も多いと思いますが、ぜひやってみていただけたらと思います。

私はオンライン秘書を育成する『おうち秘書サロン』というコミュニテイを運営しています。秘書に限らず、在宅ワークや副業など、パソコンを使って仕事をしたい方がたくさん所属しているので、よかったら覗いてみてください。

▼おうち秘書サロン
https://community.camp-fire.jp/projects/view/329310

吉武:オンライン秘書になりたい方はもちろん、お願いしたいことがある方もぜひ一度覗いてみていただけるといいと思います。ゆりえもんさん、今日はありがとうございました。

ゆりえもん:ありがとうございました。

インタビュアー:吉武 麻子
編集:長谷部 敦子

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