30年間、気がかりだった「やり残したこと」。50代の私が、タイムコーディネート手帳で「後ろめたさ」を手放すまで vol.83

大学教員として30年超のキャリアを持つnobuさん。積み重ねてきたキャリアはあるものの、博士号を取得していないことへの「後ろめたさ」を長年抱え続けてきました。とはいえ、仕事と育児に追われる日々を過ごすnobuさんにとって博士号取得は遠い目標だったそう。そんなnobuさんがご自身の意志を大切にできるようになり、目標達成に至るまでにどのようにタイムコーディネート手帳を活用したのか、手帳の使い方やご自身の変化について伺いました。

目次

「申し訳ない」を手放して、自分の意志でラストチャンスを掴む

――タイムコーディネート手帳に出会う前は、どんなことに悩んでいたか、教えてください。

nobuさん(以下、nobu):大学教員になって30年以上になります。通常、学部を卒業してから2年かけて修士号を取り、その後博士課程に進んで、博士号取得・教員の道に進むのが一般的です。私はたまたまご縁があって、修士号を取ってすぐに教員になりました。大学教員としての実務に問題があるわけではないものの、博士号を取っていないことにずっと後ろめたさがあったんです。

20代から40代は仕事と子育てに追われて博士号取得を具体的に考える余裕はありませんでした。50代になり、子育ても落ち着いたタイミングで博士号を取る最後のチャンスがやってきたのですが、決断できずにいました。

――決断できない理由はご自身でわかっていたのですか?

nobu:私の場合、博士号の取得には海外での調査が必要でした。2023年、海外に半年間滞在できる制度に応募できる機会があり、職場環境を考えても今回がラストチャンスになることはわかっていました。ただ、子どもが大きくなったとはいえ家のこともあるし、半年間大学を不在にすることで同僚に大きな負担をかけることになります。そもそも、日常の業務に手いっぱいで、論文を書く時間を捻出できるとは思えませんでした。

制度に応募できる期限ギリギリの2023年8月、タイムコーディネート手帳考案者の吉武麻子さんに相談できる機会があったんです。迷っていることを伝えると、「もう応募することを決めていらっしゃるのではないですか?」と言われたんです。たしかに背中を押してもらいたかったのかもしれないと思い、とにかく同僚に相談してみることにしました。

そのときに麻子さんから、「同僚の方へのお願いは自分軸で」といわれたことが印象に残っています。

――自分軸でお願い、ですか?

nobu:それまでの私は、ほかの人に迷惑をかけることへの申し訳なさが先に立ち、自分の気持ちを蔑ろにしがちでした。今回も申し訳ない気持ちがあることに変わりはなかったのですが、「研究をやり遂げるために応募したい」と自分の意志を素直に同僚に伝えることができました。これは、つい他人軸で考えがちだった私にとって大きな変化でした。

理解のある同僚にも背中を押してもらえ、制度に応募でき、無事海外行きが決まりました。

――そのタイミングでタイムコーディネート手帳も使われるようになったのですね。

nobu:麻子さんに相談したタイミングがちょうど2024年版発売のタイミングだったので、すぐに入手して使い始めました。

もともと通常業務も自宅に持ち帰って夜に対応している状況でした。そこに博士論文が加わり、どうやって時間を捻出するかが課題でした。

まずは、朝活コミュニティに参加し、夜型から朝型に切り替えました。朝5時半からZoomをつないで朝活をするようになって、朝の時間を活用できるようになりました。朝活に参加したい一心で早起きをしていたので、一人ではここまでスムーズに朝型への移行はできなかったと思います。

海外に行くまでの半年間は通常業務と並行して渡航準備を進める必要がありました。論文執筆は長期間のプロジェクトになるので、タイムコーディネート手帳を使うことで準備が進めやすかったです。

常に手元に置いておきたいから透明フィルムを表紙に貼り、汚れても簡単に拭き取れるように

脳内の「なんとなく」を可視化。やるべきことと手放すことが明確に

――これまでも長期計画には手帳を活用していたのですか?

nobu:これまでも手帳はデジタルもアナログも使ったことはありました。ただ、あくまで手帳はスケジュールを記録しておくためのもので、長期計画を練るために使ったのは実ははじめての経験でした。

大学教員の仕事には、「授業」と「研究」があります。授業はスケジュールが決まっていますが、研究は完全に自分の裁量に任されます。どんな研究をして、どんな論文を書くか、どのようにスケジューリングするか、本来であればしっかりと計画を立ててやるべきことをそれまでは頭の中だけでやっていたんです。

なんとなくのビジョンや目標はありましたが、タイムコーディネート手帳を使うようになって、研究に限らず、24時間の使い方から自分が望む生き方までもを明確化できたのはすごくよかったです。

――タイムコーディネート手帳を使いはじめて、すぐに使いこなせたのでしょうか

nobu:続かなくなるかな? と思っていたんですが、意外とスムーズに活用できるようになりました。自分が考えて立てた計画は手帳を見るたび意識付けされるし、成果が出ると達成感があるので楽しく続けられています。

特に好きなのは「3カ月プロジェクトシート」と「ウィークリーページ」です。

まずは、全体を把握するためにスケジュールと具体的な作業内容を「3カ月プロジェクトシート」に書き出します。毎週、「ウィークリーページ」に予定やタスクを記入するたびに、「3カ月プロジェクトシート」を見てやるべきタスクやプロジェクトの進捗を確認するようにしています。「3カ月プロジェクトシート」でプロジェクト全体を一覧できて、「ウィークリーページ」で今週やること・今日やることに具体的に落とし込める。この流れが気に入っています。

「ウィークリーページ」は、睡眠時間は水色、週に一日は確保するようにしているバッファの日は黄色、集中したい時間は紫、といったように色分けをして、視覚で把握しやすくしています。

あと、週末にはできるだけ振り返りの時間をもつようにしています。たとえば、夜にメールの返信をすると眠るときにも頭の中で考えてしまって睡眠にも影響することに気づき、夜のメール返信はやめました。特に、夜の時間の過ごし方で手放せた習慣が多いですね。

自分の時間をパッと見て把握できるように色で可視化

タイムコーディネート手帳で得られたのは博士号だけではなかった

――手放したほうがいい習慣に自分で気づくのは難しいように感じます。

nobu:私は「3カ月プロジェクトシート」に<自分ルール>を書いています。たとえば、「21時以降はスマホやパソコンは見ない」「週に1回はテニスに行く」といった自分のありたい姿につながる基準を数字を使って決めておくんです。自分が大切にしたいことであっても、日々の忙しさに追われているとだんだんわからなくなってしまいがちです。

わかりやすいルールがあれば、振り返りの時間にもできた・できていないの判断がしやすいし、何を手放したほうがいいかにも気づきやすくなります。

この<自分ルール>は「3カ月プロジェクトシート」が新しいページになるたびに書き写しているのですが、自分の変化や成長に合うように毎回微調整しています。

スケジュールと具体的な作業を2段にわけて記入。余白に自分ルールを

――タイムコーディネート手帳を使いはじめて3年弱。ご自身の変化について改めて聞かせてください。

nobu:時間の過ごし方を意識して過ごすことは、自分がどう生きたいかを考えることに繋がるのだと実感しました。

これまで自分の頭の中でぼんやりと描いていたことをタイムコーディネート手帳でひとつずつ可視化してきました。手帳に書いたものを見ながらさらに考えることで、どんどん自分のビジョンが明確になっていく。それを繰り返してきて、今では本当に自分が望む時間の過ごし方ができています。

仕事だけではなく、家族との関係や運動習慣といったプライベートの面でも、理想の自分に近づけている実感があるんです。はじめて麻子さんに相談した日からまだ3年も経っていないなんて信じられないほどに、中身の濃い充実した時間を過ごせています。

念願だった海外滞在が実現したこと、そして論文を完成させることができ、最終的に博士号を取れたことは、私にとって大きな出来事でした。もちろんうれしいし、すごく達成感はありましたが、時間の使い方に向き合ったことで得られたものはそれ以上でしたね。

聞き手・構成:はせべ あつこ

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