今は時間の使い方に課題を感じることはない、とおっしゃる吉村園子さん。それはご自身が完璧だからではなく、「自分はこれでいい」と思えているからだそう。今の自分にOKを出せるマインドとはどんな時間の使い方から育まれるのか、手帳の使い方や日常生活で工夫しているポイントについてお話を伺いました。
※本記事は2025年9月5日にお送りしたInstagramライブ配信「私の時間と手帳の付き合い方」でのインタビュー内容を再編集したものです。
吉村 園子 さま
心理学の学校Tree代表理事/心理カウンセラー
上級心理カウンセラーとして、「上からでも下からでもなく、横からそっと心に寄り添う」をモットーに精力的に活動を行なっている。
心理学セミナーを年間150回以上開催。埼玉県看護協会にて管理職向け心理学講座に登壇するなど、医療従事者向けのコミュニケーション講座も多数実施している。
また、個別のカウンセリング、コンサル等は年間延べ1000人以上。クライアントは主婦から看護師、医師などの医療従事者や起業家等多数。
著書に『一瞬で気持ちを切り替える脳内ひとりごと』(三笠書房)などがある。
▼心理学の学校Tree
https://www.tree-cocoro.com/

手帳を使えば使うほど自分を大切にできる
吉武麻子(以下、吉武):タイムコーディネート手帳はどのように活用してくださっていますか。
吉村園子さん(以下、吉村):自分に向き合うためのツールとして活用しています。スケジュールがぎっしり詰まっている手帳を見ると、真面目な自分が顔を出していることに気がつくんです。
吉武:自分に向き合うってよく聞く言葉ではあるけれど、具体的に自分に向き合うために何をしたらいいのかはわかりづらいですよね。時間の使い方はその人の価値観が表れます。24時間の使い方は目で見て確認できるので、今の自分を客観的に把握するツールとして、手帳はとても適しています。
吉村:目で見てわかるのがいいですよね。手帳を使うと、時間が、つまりは人生が有限であることがよくわかります。自然とその限られた時間で、何をするのか、誰と会うのかを考えるようになるんです。それって、自分を大切に扱うことになると思います。
手帳を使うことで自分を知り、自分を大切にできるようになるから、手帳を使うことが楽しくなる。楽しいから、もっと手帳を使うようになると、やりたいこともどんどん叶うから、ますます手帳が自分のパートナーになっていくのだと思っています。

吉武:自分が使える時間に見合っていないタスク量を無理にこなそうとする人が多いです。予定通りにタスクが実行できないのは、自分の能力の問題ではないことも、手帳に書いて見るからこそ実感できます。
自分の使える時間をちゃんと把握し、そのなかでやりたいことをひとつひとつ実現していく。そうやって自分が決めたことを実行できる喜びを感じられると、満足感や充足感を味わいやすくなりますよね。
毎年1つ成長した自分になるために
吉武:タイムコーディネート手帳の中で、お気に入りのページはありますか。
吉村:「3カ月プロジェクトシート」です。3カ月という区切りも、1カ月が上旬・中旬・下旬とざっくりと分かれているのも、本当にちょうどよくて、マルチタスクを抱える私にとっては欠かすことのできないページです。
吉武:「3カ月プロジェクトシート」を使うことで、タスクの整理はできるようになりましたか。
吉村:もちろんです。把握したいプロジェクトが多いので、「3カ月プロジェクトシート」は1つの枠の真ん中に自分で線を引いて2つに分けています。さらに、下のメモスペースにも2つ欄を追加して、計12個のプロジェクトを管理できるようにしているんです。

WEBや雑誌などで執筆の機会も多いので、連載のある会社毎と単発の執筆仕事でプロジェクトをわけています。講師業も内部と外部でプロジェクトをわけて、把握しやすいようにしています。もう「3カ月プロジェクトシート」がないと業務が滞ってしまうと感じるくらいです。
プロジェクトの中には必ず「学び」を入れて、インプットの時間を確保するようにしています。毎年、自分に必要なテーマを決めているんです。そのテーマに相応しい学びが見つかったら、金額や時期は気にせず、飛び込むようにしています。そうやって、毎年一つ、成長できる自分でいたいと思っています。
吉武:常に成長し続ける人のマインドですね。仕事の納期を守るのはある意味当然だけれど、「学び」は締切がありません。他の人に迷惑をかけるわけでもないから、つい後回しにしがちです。だけど、自分との約束をちゃんと守ることは、とても大事ですよね。
自分が生きたいと思う未来を生きる
吉武:振り返りの時間は意識的に取っていますか。
吉村:決めていることは一つだけで、日曜日の夜に5分間振り返りの時間を取るようにしています。
今週を振り返りながら、来週はどんな未来にしたいかを考えながらスケジュールをチェックします。来週のスケジュールを見て「うわっ」と思ったら、直ちに調整します。
吉武:どうやって調整するのですか。
吉村:その日じゃなくてもいいタスクは別の日に移動させます。
お相手がいるスケジュールは極力変更をしないようには心がけていますが、ときには正直に「ごめんなさい」とお断りすることもあります。
たとえば、お友達とランチの約束があったとして、コンディションが悪いまま約束しているから仕方がなく行くのではなく、心から行きたいと思える自分でその場に行きたいんです。
どうしても動かせないスケジュールの場合は、他のスケジュールを変更して時間に余裕を持たせます。スケジュール自体はそのままで、時間を短くしたり、場所を変えたりすることも。あとは、その日は「家事を一切やりません宣言」を家族にして、時間を生み出すようにすることもあります。

吉武:そのマインドはとても大事ですね。一度予定を入れてしまうと、変更することのハードルが高くなる人も多いです。私は予定を入れる時点ですごく考えるようにしています。予定を入れるタイミングで考えるか、新しい1週間を迎えるタイミングで考えるかは、タイプによるのかもしれません。どちらにしても、自分の正直な気持ちに向き合うことはとても大事だし、それが実行できていることは素晴らしいですね。
吉村:客観的に次の1週間のスケジュールを見たときに「この未来をあなたは生きたいですか?」と自分に問うてみるんです。「嫌だ」と思うなら、生きたくない未来だとわかっている未来を無理に生きることはしないで、変えられるところは自分で変えればいいと思っています。
時間をかける方法以外でバランスを取る
吉武:ご自身が担う役割ごとのバランスはどのように調整されていますか。
吉村:プライベートと仕事の予定は色を変えて手帳に書いているので、色の偏りをチェックするようにしています。
私が把握できる期間は直近1週間くらいなので、次の1週間を確認して偏りがあれば調整します。ただ、スケジュール上、どうしても家族の時間が取れない週は、翌週に家族に対して手厚くフォローするように意識しています。バランス調整は翌週まで繰り越すこともありますね。
あとは、家族との時間が取れないときには、時間以外のものに頼ります。たとえば、家族の好きなものをお土産として買って帰るようにしていますね。
長時間一緒に過ごすことはできなくても、出先で家族のことを考える時間を持つことで、私の家族への気持ちが伝わればいいな、と思っています。どれだけ忙しくてもお土産を買う5分は捻出できるので。
吉武:一緒に過ごす時間の長さではなく、大事なのは関係性ですよね。
自分の限界を知っているからこそ手帳を使う
吉武:タイムコーディネート手帳を使い続けてきて、今感じている新たな課題はありますか。
吉村:決して完璧なわけではないんですが、「それでいい」と自分にOKを出しているので、特に感じている課題はないですね。
そもそもこれだけ手帳を活用しているのは、自分の脳のキャパシティがそれほど大きくないことをわかっているからです。
実は、「この手帳を拾った方には2万円差し上げます」と、連絡先と一緒に手帳に書いています。それくらい、私にとって手帳は欠かせない存在です。
吉武:手帳は持ち歩くのが面倒くさい、手書きで書き出す時間がもったいない、という方もいらっしゃいます。けれど、自分の頭の中に溜め込んで、脳の働きに負荷をかけ、大事なことに脳を生かしきれないことの方がもったいないんです。
吉村:私もタイムコーディネート手帳を使い込んでみて、自分の思考がさらに整理された実感があります。ぜひみなさんにも手帳を手に取ってみていただきたいです。
▼人生を好循環にする書籍や心の学びを発信しているInstagramはこちら
https://www.instagram.com/shinri_tree/
インタビュアー:吉武 麻子
編集:はせべ あつこ
