タイムコーディネート手帳で「やりたい!」と素直に言えるように vol.45

自分に自信が持てず、やりたいことにも気付いていないフリをしていたという佐伯由紀子さん。少しずつ行動を積み重ねることで、自分の本心と向き合う勇気が持てたそうです。そんな佐伯さんにタイムコーディネート手帳の使い方について伺いました。

※本記事は2023年7月29日にお送りしたInstagramライブ配信「わたしの時間と手帳のつきあい方」でのインタビュー内容を再編集したものです。

佐伯 由紀子さん

音楽教室講師

幼少時よりヤマハ音楽教室にて学び、数々のコンクールやジュニアオリジナルコンサート選抜において賞を獲得。音楽大学卒業後、ヤマハ音楽教室システム講師として25年間勤務。ベビーリトミック・グループレッスン・個人レッスンを通じて、1,000人以上の指導を行う。

2019年4月より、リトミック教室とピアノ教室を開講。現在は0歳からの子どもを対象に、リトミック・ピアノ・エレクトーン個人レッスンを毎週行っている。

Blog https://ameblo.jp/azuki-musicschool/

目次

書いて満足していた自作手帳時代からの変化

吉武 麻子(以下、吉武):タイムコーディネート手帳を使う前は手帳をご自身で作っていらっしゃいましたよね。

佐伯 由紀子さん(以下、佐伯):バレットジャーナルという手帳術を取り入れていました。元々、感覚派なので、かわいくデコったり、フォントを研究したり、デイリーログもマンスリーもすべて手書きで自分好みに作っていました。

今思えば、当時は書くだけで満足していたんですよね。ウィッシュリストも作ってはいたけれど、そのためにどう行動するのかは考えられていませんでした。自分ではたくさん手を動かしているし、やっているつもりではいたんです。でも実際は、自分のことも理解しているつもりだったけれど、実も理解もできていなかったし、行動もできていませんでした。

吉武:自分の思いを書くことが大事だと思う方が増えて、ノートに書き出したり、ビジョンボードのようなものを作ったり、自分のありたい未来を描くことはみなさん割とされているんですよね。でも、描いたら叶うわけではないんです。ありたい未来を描くことで、アンテナを張ることになり、いろんな情報をキャッチできるようになって、行動するから叶っていくんですよね。そこが以前はうまくいってなかったということですよね。

佐伯:私は結局、「書いている自分」が好きだったんです。手帳を書いている時間が好きだから、それはそれで良かったとは思っています。ただ、当時、私が書いていたウィッシュリストは今の願いとは全然違うんです。「温泉に行きたい」とか「いくら稼げたらいいな」といった漠然とした夢だったし、それ自体も本当に心からのものなのかもよく分かっていませんでした。みんながこういうこと書いているから、自分も書いておこう、くらいの感覚だったんです。

バレットジャーナル自体が悪いものだったということではなく、私自身が書くだけで満足してしまって、その後の行動につなげられていなかったな、ということは感じています。

吉武:私もウィッシュリストのようなものを作ったこともあるんです。だけど、突拍子もないことを書いていたり、すごく未来のことを書いていたりしていましたね。あとは、テレビでみた行きたいお店をメモしてみるけれど、実際にそれを見返すことはありませんでした。私もただ書いたことに満足していた感じでした。

タイムコーディネートでいつもお伝えしているToDoリストにも少し似ているところがあると思うんです。日々のやるべきことをリストに書いて、できたらチェックをつけると、小さな満足感が得られますよね。けれど、「○○さんに連絡」というリストをいくつ消しても、それが自分のありたい未来に大きく関わっているかというと、そんなことはないんです。やっぱり、大きく変化するには、未来への種まきの時間を優先的に取っていかなくてはいけない。書くこと、チェックを付けることに満足してしまうのは、とても危険なことだと思います。

佐伯:そう思います。勘違いの満足をしているときは、自分の本当の望みも見つけづらくなるんですよね。私も1冊目のときは、『3ヵ月プロジェクトシート』が書けませんでした。「3ヵ月先なんてわからない」と思っていたから。

それにすごく真面目な自分もいて、「書いたらやらなくちゃいけない」「一度書いたことは変えてはいけない」と勝手に自分を縛っていたんです。Weeklyにもびっしりとこの時間は何をやるってすごく細かく書いていて、全然心地よくありませんでした。自分がどうしたら動きやすいのか、ワクワクするのかって最初は分からなかったんですよね。使っていくうちに段々と「こういう使い方は心地いいな」とか「こうやって時間を見渡してみると、やりたいことってこれだな」とわかるようになりました。今ではもうタイムコーディネート手帳なしでは暮らせません。

目指すものは変化してもいい

吉武:タイムコーディネート手帳のなかで、由紀子さんの変化に大きく影響したページはありますか。

佐伯:やっぱり『VISION逆算シート』ですね。『VISION逆算シート』が書きづらいという方もいらっしゃいますが、私は書き始めたら止まりませんでした。自分のなかに思い描いていることがこんなにあるんだって自分でも驚いたくらいです。

書く手が止まらなかったという『VISION逆算シート』

麻子さんが「VISIONは変わってもいい」とおっしゃっていて、すごく書くハードルが下がったんです。やっぱり書いて動いたからこそ、わかること、変わることがあるから。

吉武:以前、バレットジャーナルで書いていたときにも未来のことは書いていらっしゃったと思います。その時と、何が違ったのでしょうか。

佐伯:『5つの「私」役割シート』で役割ごとに自分の理想を具体化していたのが大きな違いだと思います。バレットジャーナルのときは役割ごとには見ていなかったし、人のやりたいことをまねして書いているだけだったんです。自分の心からの願いではなかったんですよね。

VISIONを明確にする上でも役に立ったという『5つの「私」役割シート』

吉武:役割で見ることで、リアルな自分のありたい姿が想像できたから、目指すものを描きやすくなったということでしょうか。

佐伯:そうだと思います。私にはすごく合っていました。

一貫性があるから行動できる

吉武:書きづらいという声もある『VISION逆算シート』ですが、由紀子さんが書き方で工夫している点はありますか?

佐伯:『VISION逆算シート』は仕事のことをメインで使っています。『5つの「私」役割シート』でも「音楽教室の先生としての私」「講座をする私」といったように分けて書き出しているので、それをVISION、MISSION、VALUEとして言語化していく感じですね。

吉武:『VISION逆算シート』単体で考えるのではなく、『5つの「私」役割シート』を踏まえて、書いているんですね。

佐伯:そうですね。『5つの「私」役割シート』で自分のやりたいことがたくさん出てきているので、『VISION逆算シート』が書きやすいし、『3ヵ月プロジェクトシート』もより具体的になりました。

吉武:それは1年目からできたんですか?

佐伯:1年目は自分が何をしたいかがまだ曖昧でした。そこから、段々と仕事が楽しくなり、仕事でやりたいこともクリアになって、「こういうことをしていきたい」というのが書きやすくなりました。

吉武:タイムコーディネート手帳は「心地よさの追求」という軸と「ありたい未来に向けて行動する」という軸との2軸があるのが特徴です。時間軸も短期的視点と長期的視点の両方があって、時間を多面的に見ることができます。

タイムコーディネート手帳は最初に『5つの「私」役割シート』があります。まずは現在の自分が理想と何が違うのかを役割ごとにクリアにしていきます。短期視点×「心地よさ」の軸で自分の理想を確認するシートです。

次に『VISION逆算シート』で、これはVISION・MISSION・VALUEを書くページですが、長期視点×「心地よさ」でありたい未来を言語化していきます。

ありたい未来が具体的になったら、『3ヵ月プロジェクトシート』です。3ヵ月を見開き1ページで見られるようになっていて、1ヵ月を上旬・中旬・下旬で分けて、合計9マスでプロジェクトをどう動かしていくかを考えます。このページは長期視点×「ありたい未来に向けての行動」の軸でやるべきことが把握できるのです。

最後に、Weeklyは短期視点×「ありたい未来に向けての行動」です。日々の時間の使い方をより具体的にしていくページです。

このように、タイムコーディネート手帳はすべてのページが繋がっています。だからこそ、書いていることに一貫性があることはとても大事です。すべてが繋がっている実感を持てると、すごく進みやすくなるはずです。

佐伯:私が手帳を自作していたときは、その意識がなかったんです。一貫性もないし、そもそも自分の声を聞いているようで全然聞けていなかった。それが、タイムコーディネート手帳と出会って、書いて、実践して、見直して・・・・・・を繰り返すことで、本当に自分が何をしたいのかがわかって、行動できるようになりました。そこが一番大きな変化だと思っています。

自分の本心に向き合う方法

吉武:最初にタイムコーディネート手帳を使い始めたときは、自分のやりたいことに自信というか、確信が持てない時期もあったと思います。そんなときに由紀子さんはどうされていたんですか?

佐伯:そうですね。以前は、自信がないから「やりたい」と声には出さないようにしていたんだと思うんです。自分自身も気付いていないフリをしていました。「私なんかが・・・・・・」という気持ちが抜けなくて、「やりたい」と声に出すまでに時間はかかりましたね。別のやりやすいことに取りかかってはみるけれど、やっぱり違うんですよね。それで、いよいよ見て見ぬフリをしていたところに向き合うしかないな、という感じでした。

吉武:見て見ぬフリをしていた本心と向き合うときはどうでしたか。

佐伯:すごくドキドキはしました。昨年からInstagramでレッスン風景をリールで投稿しはじめたんですが、生徒さんがどんどん来てくださるようになったんです。その生徒さんたちからすごく自信をもらいました。

発信していく覚悟ができたのも昨年くらいからなんです。それも少しずつできる範囲でやってみて、反応をもらえて、またやってみる・・・・・・を繰り返して、自分のリミッターを外していった感じです。生徒さんや発信を見てくださる方から自信をもらえる環境だったからこそ、本心に向き合う勇気が持てたように思います。

吉武:自分で決めて自分でやってみないと、自信はつかないんですよね。誰かから反応があるのも自分で決めたことをやってみたからこそです。自信をもって進めるようになるまではすごく大変だと思います。だけど、やっぱり何かひとつ思いついたことをやってみるからこそ、「なんか違う」「もっと○○だったら」という自分なりの基準ができてくるんです。それをいくつもやってみて、ようやく本心に辿り着くんですよね。

手帳で変化を感じられるから焦りは消えた

吉武:由紀子さんは本心からやりたいと思えることを見つけてから、焦る気持ちが生まれたと以前おっしゃっていました。その焦りはどうやって解消しましたか。

佐伯:旦那さんが壁打ち相手になってくれて、「焦ることはない」と毎日のように言ってくれていました。あとは、自分の気持ちに確信が持てたから、「どんな形でも絶対にやる!」と決められたことが焦りの解消に繋がったように思います。「絶対にやるんだから、今ここで焦る必要はない」そう思えたんです。

焦ってしまうと、結果を急ぐあまり、自分のやりたいこととズレたことをしてしまうこともすごく実感しました。手帳を見ながら、自分との対話ができるようになったので焦らなくなりましたね。

吉武:夢とかやりたいこととか目標って今すぐ実現できることではないんですよね。時間がかかることだから、日々の変化を感じにくいものです。だから、「あれ?何も変わってない」と思ってしまって、途中で諦める方も多いように思います。

タイムコーディネート手帳は来年で3年目に入ります。初年度から使ってくださっている方は2年間を振り返ってみると、「なんだこれ!」っていうくらいに変化していると思うんです。だから、その変化を見逃さないで、焦らないでほしいんです。焦っていいことは本当にないんですよね。

「心地よさ」は人それぞれにあります。やりたいことに向かって全速力で取り組むのが心地いい人もいれば、ゆっくり取り組むのが心地いい人もいます。焦っていると周りが気になってしまって、本当はゆっくり取り組みたいのに、「自分もがむしゃらにやらないと!」と疲弊してしまうこともあります。

タイムコーディネート手帳が相棒としてちゃんと見守ってくれるので、本来のご自身の心地よさを大事にしながら進んでいただきたいですね。

佐伯:自分の変化は自分が一番見えないんですよね。だから、「まだまだもっと頑張らなくちゃ!」って思うこともあるんです。だけど、タイムコーディネート手帳を見るとちゃんと変化していることがわかるから、それは本当に大きいです。

感覚派であることを強みに

吉武:由紀子さんがタイムコーディネート手帳のなかで大事にしているページはありますか。

佐伯:一番見るのはやっぱりWeeklyです。でも、大事にしているのは『3ヵ月プロジェクトシート』ですね。自分が考えたことがちゃんと進んでいるかを確認しています。

あと、変化を都度反映させることも意識しています。やりたいことそのものが変化するのではなく、そこへ向かう手段を変えたくなることがあるんです。なので、その変化に合わせてちゃんと『3ヵ月プロジェクトシート』も書き直すようにしています。

何度も見返し、修正している『3ヵ月プロジェクトシート』

吉武:感覚派の方は何かを思いつくとそちらをやりたくなってしまうんですよね。うまく自分でバランスが取れる方はそのままでいいと思います。ただ、多くの感覚派の方は思いついて走り出すけれど、途中でスピードダウンしてしまうんです。やっぱりそれはすごくもったいないですよね。

もし思いついたことがあったら、『3ヵ月プロジェクトシート』に一旦書き留めるようにしてほしいんです。やろうとしていたことと、今思いついたことの整合性や優先順位をしっかりと見極めた上で、本当にやる必要があるのであれば、未来の予定としてスケジューリングしておきましょう。一旦、手帳に書き出すことで「やりたい」と思った気持ちを消化できたら、「そんなにやりたいことではなかった」となるかもしれません。そう感じたら、消せばいいだけです。思いつきを即行動に移すのではなく、手帳でワンクッション置くことをおすすめします。

佐伯:落ち着いて『3ヵ月プロジェクトシート』を書くことによって、自分が今やりたいことはどれくらいの分量があって、自分がそこにどれだけ時間を割けるのかがよくわかるようになりました。私も勢いであれもこれもやりたい!ってなりがちですが、実際に使える時間を考えるとやりたいことの取捨選択がしやすくなります。

今意識しているのは、ワクワクしながら行動することです。気持ちが乗らないときに無理にやってもできない感覚派だからこそ、タスクを事前に細分化しておいて、今の自分の気持ちに合うタスクを選ぶようにしています。ワクワクすることには集中できる感覚派のよさをうまく生かしながら、少しずつ行動できるようになってきたように思います。

吉武:すごくいいですね。最後にみなさんへのメッセージをお願いできますか。

佐伯:私のように感覚派で、書くことに満足している方や書いてはいるけれど現実が変わらない方は、ぜひタイムコーディネート手帳を使ってみてほしいです。手帳の概念が変わると思うし、手帳が続かないと思っている方もタイムコーディネート手帳を使えば、自然と自分と向き合って行動できるようになると思います。

私は音楽教室をやっていて、ピアノの先生向けにレッスン動画を出しています。先生向けではありますが、子育て中のお母さんからも「すごく参考になりました」とおっしゃっていただけるので、もしよかったらInstagramもフォローしていただけると嬉しいです。

佐伯由紀子さんInstagram:
https://www.instagram.com/azuki.musicschool/

吉武:由紀子さん、今日はありがとうございました。

佐伯:ありがとうございました。

インタビュアー:吉武 麻子
編集:長谷部 敦子

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