タイムコーディネート手帳製作をデザイナーとして初期から支えてきた、たばたたえさん。製作チームとして動き始めた頃は自分に無理を強いることもあったけれど、今では自分が心地良く感じられる働き方・暮らし方ができるようになったそう。これまでを振り返り、タイムコーディネートを知ってからのご自身の変化や気づきについて伺いました。
※本記事は2024年7月12日にお送りしたInstagramライブ配信「私の時間と手帳の付き合い方」でのインタビュー内容を再編集したものです。
たばた たえ さん
情報デザイナー
大学卒業後、昼間はインテリアショップで働きながら夜間のデザイン専門学校へ。
卒業後は商品企画職に従事し、商品開発、撮影ディレクションなど多岐にわたる業務を担当。結婚後は現夫と夫婦そろって無職となり、1年3カ月世界を見て回る。生きる上で一番たいせつなことは「目の前の1秒に幸せを感じられるか」という価値観が生まれる。
帰国後は子育てをメインに据え、2016年第2子誕生と共に「個人で働く」道へ。
「伝えるを、もっとたのしく」を胸に、日々活動中。
「本当にやりたいこと?」軸を持って仕事をする
吉武 麻子(以下、吉武):たえさんは、タイムコーディネート手帳製作の初期メンバーのお一人です。当初からデザイナーとして、手帳本体はもちろん、あらゆるデザインを一手に引き受けてくださっていました。ご自身のお仕事に集中したいということもあって、現在はチームからは離れられましたが、2025年もタイムコーディネート手帳を使ってくださるんですよね。うれしいです。
今日は長年のタイムコーディネート手帳ユーザーとして、お話を伺いたいと思っています。タイムコーディネート手帳を使いはじめてから、どんな変化がありましたか?
たばた たえさん(以下、たばた):以前は、依頼された仕事はすべて受け、締め切りまでに期待以上のものを納品することを良しとしてきました。わりと体育会系な働き方をしてきたんです。その心がけ自体はよかったと思っていますが、在宅で仕事をしているので、メリハリがつけられず、家族との時間を削ってしまうことがよくありました。
タイムコーディネート手帳の製作を通して、麻子さんとご一緒させていただく機会が増えたことで、「本当にそれはやりたいこと?」と自分に問うようになりました。
ご依頼をいただいて仕事を受ける立場だったので、お相手に合わせて動くスタイルが自分のなかで当たり前になっていたんですよね。それが、タイムコーディネートの考え方をインストールできて、自分軸で考えられるようになったのが大きな変化です。
吉武:確かに!この3年間一緒に仕事をしていて、最初は私がお願いしたことに対して無条件に受けてくれていた感じだったんですよね。それが、少しずつ「○○までだったらできます」とお返事もらうことが増えて、時間の使い方にたえさんの軸ができていくのを私も近くで感じていました。
たばた:そうですね。今まで通りでいることはラクだから、つい流されそうになります。けれど、違和感があるときに、見て見ぬフリをせずに、ひとつひとつ「本当はどうしたい?」と自分に確認をするようになったのは大きな変化です。確認にはどうしても負荷がかかります。タイムコーディネート手帳の『5つの「私」役割シート』を活用することで、負荷をそれほどかけずに、自分が本当はどうしたいのかに気づけるんです。タイムコーディネート手帳のすごさを実感しています。
人とのアポイントも自分とのアポイントも大切に
吉武:タイムコーディネート手帳を使ってくださっているみなさんのお話を伺っていると、本当に頑張り屋さんが多いな、と感じます。そして、みなさん、自分が頑張っている自覚があまりないんですよね。頑張って結果を出すことを求められてきた世代だから、というのもあるのかもしれません。けれど、時代も変わってきています。そして、何より、役割がどんどん増えると、ただただ頑張ることにも限界が出てくるんですよね。
たばた:本当にそう思います。私も子どもが大きくなるにつれ、地域の役割など、これまでにはなかった役割がさらに増えてきました。タイムコーディネートは突き詰めると「何を手放すか」なような気がしています。
吉武:自分のやりたいことに時間を使うために、それ以外のやらなくてはいけないことや、他人の目を気にしてやらなくてはいけないと思い込んでいることをいかに手放していけるか、ですよね。
たばた:以前、麻子さんが「麦茶を沸かすことを手放す」という手放しの一例を紹介してくださっていたのが、とても印象に残っています。麦茶は沸かさず、買ったり、水出ししたりする。そういう日常の小さなことにも一つずつ向き合うんだな、と感じました。
私自身が手放したことは何かを思い出してみると、「アポを詰め込むこと」です。以前は、クライアントさんから日程調整の連絡をいただいたら、他のアポイントが入っていなければ、お受けしていました。実際は、その時間にやろうと思っていたタスクがいっぱいあったんです。それなのに、「相手に合わせないと!」「タスクは早朝や夜にすればいい」と思っていました。今は、自分との約束も大事なアポだと思えるようになったので、アポを詰め込むことを手放せるようになったんです。
日常生活のちょっとした違和感や、仕事での大きな違和感。違和感の大きさに関係なく、地道に向き合っていけるといいですよね。
3年計画で効果はじっくりじわじわと感じて
たばた:手放すこともすぐに実践できるわけではないと思います。これまでずっとやってきたことなら尚更です。タイムコーディネートの考え方や手帳に出会ったばかりの方は、1年で判断せずに、3年は腰を据えてじっくりと使ってほしいです。
吉武:タイムコーディネートの効果はじっくり、じわじわときますよね。
たばた:はい。タムコーディネート手帳には、自分のVISION、MISSION、VALUEを書く『VISION逆算シート』もありますが、1度書いただけではしっくりこないこともあると思います。しっくりこないままでも、考え続けることが大事なんですよね。製作チームとして濃く関わらせていただいた私も2~3年経ってようやく自分のMISSIONに腹落ちできる感覚を掴めました。
吉武:タイムコーディネート手帳1年目は、「よくわからないけれど、とにかくやってみよう!」で十分なんです。実際に手帳を使ってもらうと、徐々に自分の感覚や心地良いペース、どうしたいのかが見えてくるはずです。そこから次のステップに進めるといいですよね。
たばた:タイムコーディネート手帳に使っている紙は裏移りしにくい上質紙です。シンプルなフォーマットで使いやすいと思うので、「使いやすそうな手帳だな」ではじめるのもいいと思います。
吉武:構えすぎずに使ってもらいたいですよね。
「やるべきこと」から心地よさを見つける
吉武:さきほど、たえさんも地域の役割が増えたとおっしゃっていましたが、私も昨年は自治会長を経験しました。頭のなかは自治会長として「やるべきこと」が常にある状態だったんです。
いくら心地よさが大切だと言っていても、嫌でもやらざるを得ないことや調整できないこともあります。そんなときには、いかに他の時間を豊かにしていくかも大事だけれど、やるべきことそのものを少しでも心地よいものに変えていくこともできるはずなんですよね。
私は自治会でご一緒した役員のみなさんに自分の状況を伝えて、助けを求めました。そうすると、みなさんがすごく協力してくれて、自治会全体の一体感も生まれたんです。最後はみんなで「このメンバーでできてよかったね」と言い合いながら終えることができました。
たばた:そうですね。「自分がやらねば!」という責任感でやり遂げることもできるけれど、どうせ同じ時間を使うなら楽しめないかを考えたいですよね。麻子さんが他の人に助けを求めるのも多分エネルギーが必要だっただろうし、遠慮して「助けて」が言えない人もいると思います。それはもう、時間の問題ではなく、気持ちの問題なんですよね。
「やるべきこと」への向き合い方で気づいたことが私にもあります。うちは子どもが地域でソフトボールをやっているんですが、卒業アルバムづくりを私が担当することになったんです。仕事柄、私がやった方が早いと思って。
吉武:確かに!
たばた:ただ、仕事も忙しかった時期で、ふとネガティブなことを夫に言ってしまったんです。そうしたら夫から「やりたくてやってるんやろう?」と言われて、「そうだった!」と自分の本心を思い出せました。
最初はやりたい気持ちがあったからこそ始めたはずなのに、責任や義務が発生することでいつの間にか「やるべきこと」に自分がしてしまっていたんですよね。「やるべき!」だと思っていることのなかに隠れている「やりたい!」に気づくことも大切だと夫から教わりました。
吉武:時間の使い方は自分の価値観が反映されるものです。自分の時間の使い方が本音と建て前のどちらを優先したものになっているのかを見極める必要もありますよね。
手帳で自分の時間の使い方を洗い出して、何が心地よくて、何が心地よくなかったのかをひとつずつ丁寧に見ていくことが大事ですよね。
たばた:自分のお金は大事に握りしめるのに、自分の時間はついつい無条件に他人に奉仕し過ぎてしまうことが多いですからね。「まぁ、いっか」で済ませずに、自分の心地よさを大切にしたいです。
吉武:本当にそう思います。
気持ちを書き残しておくと振り返りやすい
吉武:たえさんがタイムコーディネート手帳にたくさん書き込んでいて、製作チームのみんなが驚いたことがありましたよね。
たばた:タイムコーディネート手帳の製作チーム内で、わたしの手帳をシェアをしたんですよね。私は、Weeklyページに、起きた時間や寝た時間、予定やタスクはもちろん、その日に感じたことも書いています。たとえば単発のサービスを提供した日には「なかなかよいフィードバックができたと思う」なんて書いています。「七五三の写真が届いた。かわいい」なんて書いている日もあります。
たえさんのWeeklyページ
書きたい気持ちが湧かないときは無理して書かない
以前、麻子さんが1日に点数をつけているとおっしゃっていたので、1週間のうちで一番ここちよかった日にハートをつけることもあります。私には点数をつけるよりもマークで表現する方がしっくりきました。
タスクは、暮らしに関するタスクを上の空きスペースに、仕事に関するタスクを下の空きスペースに、なんとなく書き分けています。やり残したタスクは丸をつけてわかるようにして、持ち越すタスクは翌週に書き写すようにしています。すべてWeekly上でやっているので、Weeklyページの右端にあるタスク欄や振り返りの欄はあまり書かないことが多いです。
使い方は自分なりにアレンジして自由に使ってOK
吉武:私は、右端の振り返りの欄に、成果・改善・手放しの枠は無視して、その週に感じたことを書いています。
タイムコーディネート手帳を使い始めたばかりの方からは、「どう書くのが正解ですか?」「これで書き方は合っていますか?」と聞かれることも多いのですが、正解は本当にありません。自由に使ってほしいです。ただ、振り返りで感情を書いて意識することは大事です。
時間はワクワクすることや幸せだと感じられることに使いたいですよね。書くことで、自分がどんな時間を増やしていきたいのかに気づくことができます。逆に、心地よくなかった時間がどうして生まれてしまったのかを知ることもできます。
そうやって少しずつ自分にとって心地よい時間を増やしていけるのが、タイムコーディネート手帳なんだと思っています。
たえさん、今日はありがとうございました。
たばた:ありがとうございました。
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たばた たえさんInstagram
https://www.instagram.com/tae__tabata
インタビュアー:吉武 麻子
編集:はせべ あつこ