才能発掘コンサルタントとして、女性の働き方や生き方のお悩みに向き合っているみさっきーさん。そもそも時間について考えたことがなかったところから、心地よい時間の使い方に向き合いはじめます。タイムコーディネート手帳を使うことで、時間に追われていた原因に辿り着いたというみさっきーさんに、これまでの変化について伺います。
※本記事は2022年12月7日にお送りしたInstagramライブ配信「タイムコーディネート手帳が私たちにもたらしてくれたもの」でのインタビュー内容を再編集したものです。
みさっきー さん
元教員・才能発掘コンサルタント
小さい頃からの夢だった小学校教員へ。憧れだった先生になれたのに、子どもたちの前で笑えなくなってしまったことや自分の働き方に違和感を覚えたことをきっかけに、今後のキャリアについて悩み始める。
自分が選んできたこれまでの人生の選択を振り返り、無意識に「誰かの正解」「世間の常識」を優先していたことに気づき、退職を決意。
「人生を楽しむ背中を子どもに見せられる大人を増やしたい!」という思いから、働き方やキャリアに悩んでいる大人のサポートをすることを決め、起業。
現在は、教員や公務員・OL・主婦などさまざまな女性に向けて、「個性」「らしさ」「才能」を探るため、深い自己理解や心と向き合う方法を伝えている。また、自分を生かす働き方のひとつとして、起業支援も行っている。
教師を辞めて起業の道へ「時間の使い方がわからない」
吉武 麻子(以下、吉武):みさっきーさんが抱えていた時間に関するお悩みを聞かせていただけますか?
みさっきーさん(以下、みさっきー):正直に言うと、時間に関しては今まであまり考えたことがなかったんです。
私は元々小学校の先生でした。出勤したら先生モードになるので、頭の中にあるのは学校のことだけ。毎年、手帳は買っていたものの、活用できたことがなかったんです。つい2~3年前までそんな感じでした。
いざ教師を辞めて起業しようとしたときに、「あれ?時間の使い方ってどうしたらいいんだろう?」となってしまったんです。
最初は、教師を辞めたことで自由に使える時間が多くなり、それが心地よくも感じていました。けれど、段々とやることも増え、考えることも増える。そして、それに比例して、自分の身体はどんどん疲弊していく。そうなってみてはじめて、私は時間との付き合い方を考えたことがなかったことに気がつきました。
吉武:24時間の使い方を自分で決められるようになったら、時間の使い方がわからなくなってしまったんですね。
みさっきー:はい。私は家族がいるわけではないし、起業をすることしか頭にありませんでした。だから、どうやって時間を使えばよいのかが本当にわからなくなってしまったんです。
吉武:自由に時間があるがゆえに、時間をうまく使えないという悩みをお持ちの方も多くいらっしゃいます。
時間の前に感情をノートで見える化する
吉武:みさっきーさんは自分を深く理解するためのツールとして、ノートを使われていますよね。時間の使い方を整えていく上で、ノートの影響はありましたか?
みさっきー:はい、ありました。私はノートに書くのがすごく好きで、1日の振り返りや自分の感情を見える化するためにノートを使ってきました。そこは習慣化できていたんです。ただ、「時間を見える化する」という発想がそもそもありませんでした。
麻子さんの発信をいろいろと見たときに、「まずは自分が今、何に時間を使っているのかを把握しましょう」とおっしゃっていました。感情面では私も以前からやってきたことだったので、「やっぱり時間もそこからなのか!」と思ったんです。まずは、時間を見える化するためにタイムコーディネート手帳を使い始めました。
吉武:これまでも感情面をノートに書き出す習慣があったことが、みさっきーさんにとってのベースになっていますよね。心地よく時間を使うということをタイムコーディネートではすごく大事にしています。その上で、やりたいことや叶えたいことを限られた時間で実践していくにはどうすればよいのかをタイムコーディネート手帳で時間の使い方として落とし込んでいきます。
みさっきーさんは、最初につまずきがちな「自分を知る」というところをすでにクリアにできていた、ということですよね。
根性論だけでは自分がダメになる
吉武:先程、教師を辞めて使える時間は増えたけれど、どんどん疲弊してしまった、とおっしゃっていました。やりたいことをどんどん予定に入れてしまった、もしくは予定が入ってきてしまったのでしょうか?
みさっきー:自分では全く自覚していなかったのですが、私は割と根性論で頑張れてしまうタイプなんだということを知りました。
目の前にタスクがあって、そのタスクが自分のやりたいことに繋がっているということが分かっていたら、どこまでも身体を酷使できてしまうんです。そういう思考の持ち主なんだ、ということに気がつきました。
起業して、ビジネスを0から1にする段階、一番高いハードルを乗り越えるところでは、その根性が役立ちました。でもやっぱり、根性だけでは長くは続かないんですよね。
吉武:現実問題として、ビジネスの基盤を整えるにはそれなりの時間も労力もかかりますよね。
みさっきー:そうなんです。私はやりたくて仕方がなかったから、自分でおしりに火をつけているような感じでした。でも、少し時間が経つと、このアップダウンの激しい生き方はずっとはできないな、と思いました。ちゃんと自分の時間の使い方を見直さないと、私もダメになるし、生徒さんもダメになる・・・そう思ったんです。
100m走の走り方では42.195kmは走れない
吉武:自分にムチを打つ頑張り方は、心か身体がやっぱり悲鳴をあげるんですよね。だからこそ、タイムコーディネートでは「まず睡眠時間を確保してください」とお伝えしています。「1日に24時間ある」と思うと長く感じるけれど、7時間の睡眠時間を確保しただけで、もう1日に使える時間は17時間になります。そのなかから、生活するために必要な時間を引いたら、実際に自分のやりたいことをやれる時間は本当に限られるんですよね。
その現実と、やらなくちゃいけないことややりたいことの多さとのギャップがすごくある方が多いんです。
みさっきー:まさにおっしゃる通りです(笑)
吉武:今はどうですか?ご自分の心地よい時間のバランスは徐々に取れてきていますか?
みさっきー:そうですね。麻子さんのいろいろな発信を拝見するなかで、一番私が嬉しかったのは「睡眠時間を先に確保しましょう」というアドバイスだったんです。寝るのが大好きなので、「それでいいんだ!」と思えました。あと、「バッファ(余白)をしっかり確保しましょう」というアドバイスも「私はそれをやっていなかった!」と気づけました。
そうやって、ひとつずつ麻子さんのアドバイスを実践していくなかで、休むときは休むというメリハリはうまくつけられるようになったと思います。
吉武:いいですね!やりたいことや夢を叶えるため、幸せに心豊かに生きていくためには“続ける力”が欠かせません。マラソンを走っているのに、100m走のような走り方では走り続けられないんですよね。
だからこそ、心地よく続けられる時間の使い方を大切にしてほしいです。
タイムコーディネート手帳の要『3カ月プロジェクトシート』
吉武:タイムコーディネート手帳は、実践に重きを置いているところがあります。みさっきーさんがノートでされているように、自分の心地よさや理想とする生き方といった内面を言語化したものをタイムコーディネート手帳で具体的な行動に落とし込んでいく、という使い方をしてくださっている方も多いです。
『3カ月プロジェクトシート』を使うと、この一連の流れが実践しやすくなる、というお声をよくいただきます。みさっきーさんはお気に入りのページはありますか?
みさっきー:もう言いたくて言いたくて仕方がなかったんですが、私も『3カ月プロジェクトシート』が好きです!
吉武:うれしいです!
みさっきー:『3カ月プロジェクトシート』に書き込む時間が私は一番好きかもしれません。
吉武:それはなぜですか?
みさっきー:3カ月を終えたときが自分のなかで一息つけるタイミングになっています。だから、振り返りの時間がホッとできる時間になっている、というのもあると思います。あとは、次の3カ月以降をどうやって過ごしていこうかを考えるなかで、「これをやりたい!だったらこの月にはこれをやろう!」といった感じで、パズルのピースがカチっとはまる感覚があるんです。それが一番ワクワクします。
私はいろいろな手帳を見る機会も多いんですが、こんなにも大きく3カ月スパンで考えられるページがある手帳ってほとんどないんですよね。だから、このページがある限り、私はタイムコーディネート手帳をずっと買うと思います(笑)
吉武:確かに、長期的に時間がみられる手帳というのは少ないですよね。
『3カ月プロジェクトシート』はすごくシンプルなんですが、とてもこだわって作ったページです。まだタイムコーディネート手帳がなかったときには、PowerPointで私も自作していたくらいなんです。このシートがあれば、時間の使い方が整理しやすくなることがわかっていました。だから、手帳を作ることが決まったときには、このページは必ず入れようと思っていました。
タイムコーディネートを実践してくださっている方のなかには、この『3カ月プロジェクトシート』が本当に要だと言ってくださる方が多いんです。『3カ月プロジェクトシート』があることで、Googleマップでいう現在地と目的地を同時に見ながら実行していけるんですよね。
自由であることは案外大変だった
吉武:教師をされていた頃は1学期、2学期・・・という区切りがあったと思うのですが、3カ月というスパンは以前から意識されていたんですか?
みさっきー:いえいえ、教師をしていた時は何も考えていませんでした(笑)。本当に目の前のことに精一杯でしたから。やりたいことをベースに時間の使い方を考えるなんて、以前はまったくできていませんでしたね。
教師は年間計画が年初には決まります。しかも大体毎年同じ流れなんです。4月にこれがあって、5月にこれがあって・・・という感じで。そのリズムが身体に染みこんでいるので、「ここまでにこれをしないと間に合わない!」といった切迫感からスケジュールを考えていました。少しニュアンスの違う先の見方だったな、と今は思っています。
先を見ることの必要性を感じたのは、起業してからです。私が決めないと誰も決めてくれないから(笑)
吉武:そうなんですよね。教師や会社員の場合は、組織が既に決めている部分も多くて、自分で決められる余地は少ないかもしれません。ただ、どんな働き方であっても、自分の人生をどう生きるかは自分が決めないと何もスタートしないですよね。
みさっきー:白いキャンバスにひとつひとつ自分の手で置いていく作業ですよね。私も自分で決めたいと思っていたはずだったんです。なのに、いざやってみると、最初は楽しかったけれど、どんどん辛くなっていきました。
やり方もこれで合っているのかがわからないし、このままいくと身体を壊しそうだし・・・。「これは時間としっかり向き合うしかない!」そう思いました。そこから、長期的な目標から短期的な行動レベルに落とし込むということをタイムコーディネート手帳でやりはじめたんです。
吉武:自分がどのくらいの期間でどのくらいのことができるのか、というのも未知の世界ですよね。自分で決めても軌道修正ばかりで、最初はすごく戸惑うと思います。その辺りも経て、少しずつ心地よい時間の使い方になっていく感じですよね。
24時間すべてを効率化しなくてよい
みさっきー:時間管理のイメージが変わった、というのも私のなかでは大きかったです。時間管理をサービスにされている方は、押しの強いイメージがありました。「とにかく頑張ってやりましょうー!」といったガツガツした感じです。
吉武:そういうイメージがありますよね。
みさっきー:私のなかには、ガツガツばっかりには抵抗があるけれど、それが大事なのもわかる・・・といった、少し矛盾したような気持ちがあったんです。麻子さんは心地よさと行動の両方を大切にされていることが伝わってきたので、「突破口があったー!」と勝手に思っていました。
吉武:すごくうれしいです!!そうなんですよね。通常の時間管理は24時間すべてを時短・効率化して、隙間時間にやることを詰め込んで、ひたすらタスクをこなしていくイメージです。タイムコーディネートでは、24時間すべてを時短・効率化する必要はないと考えています。たくさんのタスクをこなすことが目的ではないから。
あくまで、どんな人生を歩みたいのかがベースにあります。どんな人生だったら心豊かになれるのか、それはどんな時間の使い方なら実現できるのか、を考えていきます。もちろんやりたいことを実現するために、時短や効率化も大事です。でも、24時間すべてを効率化しようとすると苦しくなってしまいます。心地よさをベースに、必要なところでは効率化を取り入れる。これが、一般的な時間管理術とタイムコーディネートの大きな違いです。
時間に追われる原因は「環境」ではなかった
吉武:タイムコーディネート手帳はどんな方にオススメですか?
みさっきー:自分の時間をどう使っているのかが全然わかっていない方にオススメしたいですね。
吉武:わかっていない方は多いですね。
みさっきー:あと、時間としっかり向き合いたい方にもオススメです。
私はワークが好きなので、いろいろなワークが盛り込まれている手帳も好きなんです。ただ、視点がズレてしまって、遙か先の未来を見てしまったり、振り返りに時間を使いすぎてしまったりすることもあります。それも大事だけれど、「今」の時間の使い方にフォーカスすることはそれ以上に大事だと思っています。
時間にフォーカスするために、タイムコーディネート手帳のシンプルさはすごく大事だと感じます。
それから、時間に追われている感覚がある方にも使ってほしいです。私は以前、教師だから時間に追われているんだと思っていました。でも、起業してからも変わらず時間に追われていました。
教師を辞めても時間に追われるということは、「環境」が原因ではなかったということ。多分、自分の思考の癖に原因があるのだろう、ということがわかりました。だから、時間に追われている感覚がある方は、タイムコーディネート手帳を使って、自分の思考の癖を知ってほしいな、と思います。
吉武:ありがとうございます!そうなんですよね。結局は自分でタスクを詰め込んでいるから、結果的に時間に追われている、ということですよね。
みさっきー:はい。たとえ使える時間が同じだったとしても、考え方を変えるだけで時間に追われている感覚はなくなると思います。忙しいのは「現実」ではなく、「感覚」だから!
吉武:どうしてタスクを詰め込んでしまうのか・・・を分解する必要がありますよね。
みさっきー:考え方を変えない限り、多分、環境が変わってもずっと時間に追われると思います。
吉武:本当にそう思います。自分を理解しないと、タイムコーディネートはできません。みさっきーさんにはノートで自己理解をしてきたというベースがあるからこそ、タイムコーディネートが実践しやすかった、というのはあるように思います。
みさっきーさんはノートを使われていましたが、手段はなんでも構いません。時間の使い方から自分の価値観を知ることもできるし、別のツールを使ってもいい。自分にとって相性のよいものを使いながら、ぜひタイムコーディネートしていただきたいな、と思います。
自己理解については、みさっきーさんのInstagramにもたくさんのヒントがあるので、こちらもぜひご覧いただけるとよいと思います。
みさっきーさん Instagram
https://www.instagram.com/mmmisackey/
最後にみなさんにメッセージをお願いします。
みさっきー:はい、ありがとうございます。時間に追われている感覚というのが、多分一番苦しく感じるのではないかと思います。
時間の使い方を自分で振り返って、自分に「できたね」という声をかけてあげられること。これが時間に追われている感覚を薄めてくれるひとつの大きなポイントだと思っています。今、私はそこをタイムコーディネート手帳で取り組んでいるところなので、みなさんと一緒に時間の使い方を探っていけたらうれしいな、と思っています。
吉武:みさっきーさん、本当にありがとうございました!
みさっきー:ありがとうございました!
インタビュアー:吉武 麻子
編集:長谷部 敦子